福岡で「マリア像の涙」(秋田市添川)を教えて頂いた、稲垣良典さん逝く

福岡秋田県人会

1月15日、九州大学名誉教授の稲垣良典(りょうすけ)さんが逝去された。享年93歳。

稲垣さんは、佐賀県出身で東京大学文学部哲学科を卒業され、我が国の中世スコラ哲学研究の第一人者だった。毎日出版文化賞、和辻哲郎文化賞などを受賞。40年近く前、勤務先の会社の社外委員を、お願いしに福岡県宗像市のご自宅を訪ねた。

委員就任は、二つ返事で了承を頂き、以来、少し個人的にも、ご教示を頂いた。その中で、「マリア像」(秋田市添川湯沢台、カトリック聖体奉仕会修道院)の話がある。法医学者の鑑定で木彫のマリア像の涙にはヒト体液が付着していて血液型も分かったという趣旨だった。

当時は、マスコミを賑わせ海外から信者が訪ねる騒ぎになった。稲垣さんは、翻訳も含めて多くの著書を残しているが、2019年の講談社現代新書「神とは何か、哲学としてのキリスト教」で、人間とは「旅する者」であり、われわれが「人生」と呼んでいるのは、目的地(ゴール)を目指して歩む「旅路」だと書いています。

この旅が、いつか終わる事実を挫折感や絶望を持って受け止めるのではなく、目指していた終着点への到達という「希望」をもって待ち望むことができると答えています。

想い出を噛みしめながら、ご冥福をお祈り致します。(中村 靖)

 

福岡で「マリア像の涙」(秋田市添川)を教えて頂いた、稲垣良典さん逝く

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