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語りを聞く

八木沢番楽保存会 会長 佐藤敏雄さん

画像:八木沢番楽保存会 会長 佐藤敏雄さん

 上小阿仁中学校では、大林獅子踊りと小沢田駒踊りという、村に伝わる2つの郷土芸能を生徒たちが学び、学校祭で発表する機会を設けています。2010年10月16日、この2つの郷土芸能と共に、もう一つの村の芸能が学校祭で発表されました。20数年ぶりに復活した、上小阿仁村の無形民俗文化財に指定されている「八木沢番楽」です。

 八木沢番楽保存会の会長を務める佐藤敏雄さんは、2010年の春から、保存会の仲間と共に番楽の指導を生徒たちに行ってきています。後継者難により途絶えていた八木沢番楽ですが、学校の郷土芸能学習の時間を利用すれば、八木沢番楽を上小阿仁村に残すことができます。「村の子供たちに教えてやって欲しい」と、学校から打診された敏雄さんは、保存会の村田肇さんと佐藤金次郎さん、そして村の募集に応じ、都会から八木沢に移り住んだ地域おこし協力隊の桝本杉人さんと水原聡一郎さんと共に、中学校の生徒を交えた「チーム八木沢」の一員として、八木沢番楽の復活へ向け、指導を行ってきました。

 マタギの里に伝わる八木沢番楽は、勇壮で激しい武者舞が見どころのひとつ。男の子にとって番楽は憧れの的でした。「伴奏も小さい時から見ているから簡単に覚えたもんだ」と話す敏雄さんは、演目の口上や唄、踊りなどを担当していたそうです。番楽を指導する時、敏雄さんの表情や声色は、ぐっと引き締まり真剣みを帯びます。「番楽はリズムが大事なんだ」と、協力隊の2人に間髪いれず指摘する姿からは、「引退」という言葉とは無縁の力強さが伝わってきます。

 生徒たちの指導を続けながらも、「俺一人ではどうすることもできない」と、当初は不安だったと話す敏雄さんですが、八木沢番楽は、生徒、協力隊、学校関係者、そして保存会メンバー以外の番楽関係者の協力も得て、見事に復活を果たしました。学校祭当日は、八木沢集落の女性陣も、着つけや化粧の応援に駆けつけています。八木沢の人々に娯楽と笑顔を提供してきた八木沢番楽は、この日、多くの人々に見守られながら、上小阿仁村の郷土芸能として新たなスタートをきりました。

 「子供時代から番楽をずっと見てきた」と話す敏雄さん。八木沢に生きた自分たちにしか伝えられない番楽の記憶とリズムを、もっと教えたい。「まだまだ教えていない演目がたくさんある」と、敏雄さんは、保存会メンバーや協力隊と共に、八木沢番楽を残していく取り組みを続けています。

2011年6月掲載

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