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語りを聞く

料理名人 岩井テツエさん

画像:料理名人 岩井テツエさん

 
 黒いホットプレート上で、とろとろになった黄色のとき卵が、きれいな生地になっていく様子を、にこやかに見つめるのは岩井テツエさんです。この日は「今、はまっている物」と“バームクーヘン”を作る様子を見せてくれました。テツエさんは、蛭沢の笹木商店のムツ子さんが「越山の料理名人といえば!」と太鼓判を押す存在です。

「私のは、料理なんて大層なものじゃないよ」と、ホットプレート上で手を休めずに話すテツエさん、ちょっと照れくさそうです。大館市・山田出身のテツエさんは、越山の羽立の岩井家に嫁いで約50年。46歳の時にご主人を亡くし、その後は、孫3人の世話や農作業に力を注いできました。
 
焼餅、巻物、生菓子……興味を持てばテツエさんは何でも作ります。大根のビール漬けに、たくあんの酢漬けなど、漬け物もお手のもの。そして作った料理は、自転車に乗って集落の人々に配って歩きます。「料理を作るのにこだわりはないよ。好き勝手に作ってるの」と、はにかみますが、興味のある料理講習会があれば、“本物”を見に出かけ、勉強を重ねます。“本物”を見てからつくるのがテツエさん流の料理のこだわりなのです。
 
お話を伺っているうちに、ほかほかのバームクーヘンが出来上がっていました。一見、麦巻のように見えますが「これはバームクーヘン!」とにこやかに宣言するテツエさん。もちもちとしていて、砂糖控え目のシンプルな味わいに仕上がったバームクーヘンはボリューム満点です。「料理には、その人の“味”がでるでしょ?私の料理は、私の“味”なの」。バームクーヘンは、飾らないテツエさんの人柄が表れた優しい味でした。
 
「自分で食べるより“作る”ことが楽しくて」とテツエさんは話します。
テツエさんは、赤い愛車の自転車に乗って集落を走っている時、美味しさを運びながら、地域の皆さんの笑顔も見る事で、さらなる楽しみを得ているのです。
2011年4月掲載

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