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歴史を知る

佐竹藩主に献上した「殿様御前」

画像:佐竹藩主に献上した「殿様御前」

 「御渡野(おわたりの)」とは、藩主の領内巡検のこと。普段お目にかかることのない雲の上の人々をお迎えする、地域あげての一大行事でした。
 秋田藩の佐竹藩主は七日市地域を3度訪問しています。本陣(藩主の宿)となったのは肝煎(村長)長岐邸です。文化6年(1809年)9月、七代目肝煎の長崎七左衛門は九代目藩主・佐竹義和公を迎えました。
 長崎七左衛門は、いつかまた御渡野があった時、後世の人がおもてなしに困らないようにと「御渡野御用日記」を書き、詳しい記録を残しています。総勢300人を超える藩主一行の宿割り、お座敷の整理から鷹の格納、小猿部川に橋をかけて馬が通れるようにしたこと、案内人の衣装の色の決まり、猫はよそに預けて静かな環境を保つ、新築したトイレの間取りや作りなど、「そんなところまで」と驚くようなこまごまとしたルールや配慮が必要だったことが伺えます。
藩主に献上したお料理「殿様御膳」はどのような献立だったのでしょうか。
 
  ●皿………千切り大根、にんじん、くらげ、栗、スズキ、エビ、はらこ
  ●御汁……納豆、ぬいど茸、塩漬うど
  ●平………あんかけ(塩山蕗、まいたけ、鮭)
  ●引而……香のもの、浅漬け
  ●御寝肴…いわしのでんぶ、数の子、なます
  ●御飯
 
 山の幸・海の幸をふんだんに用いた豪華なメニューです。実は、藩からは事前に「料理は質素にまとめ、豆腐汁、塩鮭、切身、塩物などでよい。お供の方にはお酒は出さないように」と申し渡されていたのです。
 しかし、藩には内緒で「御扱様(群方吟味役、現在の地方行政官)」に相談して内容を決めた、と記されています。平成25年1月、この殿様御膳を再現しようという試みが「おさるべ元気くらぶ」によって行われました。鮎の塩焼きや納豆汁など、一の膳・二の膳の計9品を参加者と共に調理し、殿様気分で味わうというイベントでした。当時の人々が心づくしの御膳を味わい、地域の歴史をより身近に感じられたのではないでしょうか。
2015年3月31日掲載
 
■参考文献
『小猿部物語(Ⅰ)殿様の巻』 
『御渡野御用日記 長崎七左衛門』(秋田県公文書館蔵)
おさるべ元気くらぶパンフレット『おさるべかだるべ』

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