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歴史を知る

鉱山の探訪者 戸嶋チエさん

画像:鉱山の探訪者 戸嶋チエさん


 戸嶋チエさんは、大正7年(1918年)に上小様地域の土倉集落に生まれました。

 昭和10年(1935年)頃に三枚女子青年団を復活させ、昭和35~56年(1960年~1981年)まで三枚婦人会、婦人学級長(公民館)を務めました。「ふるさと阿仁観光案内人の会」の戸嶋喬さんの母親でもあります。鉱山で栄えた地域への興味が尽きなかったチエさんは、実際に「三枚鉱山」「一ノ又鉱山」「二ノ又鉱山」に足を運んで現地調査を行い、現地の様子を克明に記録した本を出版しています。
 
 無人となってしまった集落跡にも「尽きないロマンがある」と、チエさんは著作に自身の思いを綴っています。現在は無人となっている上小様地域の奥地にある一ノ又鉱山跡。そこの「女郎沢(めらさわ)」という場所に巨大岩石があります。この石には「タガネ」で打ち込んだと思われる穴が120数個もあり、鉱山時代に使われた試験石と見られています。この石の他にも、チエさんは現地調査で2個の試験石を発見しており、異人館横に移転された試験石もあるそうです。
 
 また、現地調査や本を出版する過程で生まれた交友関係も多彩です。仙北市田沢地域出身の直木賞作家・千葉治平は、チエさんの著作を読み、その内容に感銘を受け、手紙を送ってきたと『鉱山と生活 伝承と出会い』に記されています。母方の先祖が阿仁地区の住民だった千葉治平は、姉で詩人でもある坂本梅子の詩集を手紙に同封してきました。これをきっかけに坂本梅子との交友も始まり、手紙の往復書簡もチエさんの著作に掲載されています。
 
 現在の一ノ又鉱山跡、二ノ又鉱山跡、三枚鉱山跡は、危険な場所もあり、素人が行ける場所ではありません。チエさんは地元の人々に案内してもらい、実際に現地を訪れた人でなければ分からない情報を克明に著作に記録してきました。上小様地域の歴史を知る上でも貴重な文献となっています。
 
2012年5月掲載
■参考文献
『阿仁鉱山跡探訪 その伝承と風俗』戸嶋チエ著
『続阿仁鉱山跡探訪』戸嶋チエ著
『鉱山と生活 伝承と出会い』戸嶋チエ著
 
 

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