浅利菊松氏は「菊松翁」の名で知られる大館市山田地域生まれの篤農家です。78年間の記帳や64年間の気象観測などの功績が認められ、秋田県文化功労章の表彰を受けました。

 祖父・寅松氏から農業と天候の密接な関わりを教えられ、記録をつけ始めたのが満で10歳半の時、明治40年元旦のことです。続いて明治43年、毎日2時間をかけたという気象観測にも取りかかります。どちらも以来、一日も空けることなく続けられました。
 
 著書の内容は農業・気象についてのみならず、物価や社会情勢にまで及んでおり、貴重な近代資料となっています。『明治四十年以来同日集計』や『農業気象観測六十年達成記念』など、編集された冊子の題名も年月を感じさせるものです。
 このほか、大館米検査所からの依頼で稲の乾燥作業を指導するなど、地域の農業発展に尽力しました。
 
 働き盛りの頃、叔父から引き継いで米穀商を営みますが、失敗して多額の負債を抱え込んでしまいます。その苦闘の跡も、自らの記録が語るところです。菊松翁の記帳が止まったのは、昭和57(1982)年4月30日。逝去の2年4ヵ月前でした。
 
平成22(2010)年4月掲載
  
■参考文献
『田代町史』

こちらの記事もおすすめです

「Storeたんひ(ストアたんひ)」と「Cafe Acco(カフェあっこ)」

  大館市山田地域では、令和3(2021)年9月、住民が運営する商店「Storeたんひ(ストアたんひ)」と商店に併設する交流サロン「Cafe Acco(カフェあっこ)」をオープンしました。  買物支援などの地域課題の解決を図りつつ住民同士の...

買う

地域活動

お互いさまスーパー

世代間交流

山田地域の歴史

迷路の町並みに残る中世の山田  大館市山田地域を一望できる高台にある八幡神社は、通称「勝山八幡」と呼ばれています。  戦国時代、勝山越後三郎という地侍が治めたこの場所には「山田館」と言われる城がありました。旧山田...

歴史

地域の歴史

山田地域の活動の歩み

  平成21(2009)年から本格的に地域おこし活動を始めた山田地域。この年から始まった軽トラ市「山田“菜”発見市」は住民が一人一役を担う場となっていて“自分たも主体になろう”という活動の連鎖が起きていました。この軽トラ市は1...

地域活動

地域団体

GBビジネス