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語りを聞く

松館天満宮舞楽保存会

画像:松館天満宮舞楽保存会

 松館天満宮三台山獅子大権現舞、古くから続く権現舞ですが、大正のころに一時途絶えかけたものの、昭和12年(1937年)には現在のような形として再興されました。現在も、20名前後の舞い手たちによって、毎年4月25日と10月25日(10月は権現舞のみ)に神前に奉納されています。

 奉納されるいくつもの神楽、舞いを覚えるだけで3年以上はかかると言われ、特に権現舞の獅子頭の扱い、湯立て神事の熱湯を使う神事は3年どころか5年~10年とも言われる熟練を要します。

 その大変さを象徴するかのように、権現舞で獅子頭を持つ舞い手の左手はテーピングが貼られ、獅子頭の木は、手の当たる部分だけが削れています。何人もの舞い手が、何千回、何万回と打ち鳴らした努力の跡が、生々しく残っています。10kgをゆうに超える獅子頭を左手一本で頭の上まで持ち上げ、急降下させながら歯を打ち鳴らす。その動きは舞い手になってからも、先輩から「まだまだだなあ」というほど難しいものです。

「お湯立て神事」では舞いが激しいうえに、途中熱湯をかぶります。また、作柄を占うこともあり、そのプレッシャーは熟練の舞い手ですら相当なもの、厳粛な神事の中で舞うことを考えるとそのプレッシャーはなおさらなことです。

また、地域の外での出演も積極的に行っており、頼まれれば「よし、行こう!」と、すぐになるそうです。毎年、県内外の様々なイベントにて権現舞は披露されています。

そうした活発な活動、そして難しい獅子をはじめとした舞いの話を聞くと、後継者に困ってしまうのでは……とも思ってしまいます。大正時代ごろに一時期衰退したこともあったそうですが、現在の形になってからは、松館天満宮舞楽保存会では今のところ後継者については問題視されていません。保存会のみなさんは、村の青年会を終えると自然に保存会へと加入したそうです。そうして集まった人数は、お祭りを行う際に不幸事などで出演できない人の代わりも含めて必要十分、話を伺うと、ごくごく自然な流れとして、「俺もやるんだな」とみんな加入してくれるのだそうです。たくさんある神楽の舞いは、それこそ小さいころからずっと見てきただけあって、みなさん代役を急に言い渡されても「なんとかなる」とのこと、それほど身近であり、そして大事にされている神楽だと感じます。

古くからの伝統を、気負わず次へと残そうとする、集落全体の「姿」が見えてきました。
 

2011年4月掲載

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