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歴史を知る

昔話「甚兵エ川原の狐」

画像:昔話「甚兵エ川原の狐」

 鹿角市毛馬内(けまない)の甚兵エ川原(じんべえかわら)地域では、悪い狐を懲らしめた昔話があります。

 その昔、小坂町の市の日に商いに行った人達を騙し、油揚げや魚を取る狐がいました。
ある日、1人の若者が甚兵エ川原を通りかかると、1匹の狐が川の水に顔を映して、一生懸命化けているところを発見します。
若者は「馬鹿狐が何かしているな」と草の陰に隠れて様子を伺います。そうすると狐は綺麗な姐さんに化けました。
しかし、川面に映った正面姿こそ綺麗な姐さんながら、映らなかった後ろは化け忘れ、狐の毛がフサフサしています。
若者は、その姿に笑いを必死にこらえながら、素知らぬ振りして近づき、これから何処へ行かれるのかと尋ねます。すると狐が化けた姐さんは、「毛馬内の町に用事があって行く」と答えます。若者は、自分もちょうど毛馬内に行く途中だったので一緒に行きましょうと毛馬内の町に向かいます。

さて、毛馬内の町に入ると『かどや』という酒屋があって、お酒の良い匂いがしてきます。「ここで一杯酒っこ飲んでいがねが」と若者は誘います。狐もお酒好きなものですから、喜んでこの『かどや』に入ってお酒を飲みます。
そして、狐がいい加減に酔っぱらったところを見計らい若者は、化けた狐に「後ろからなにか見えているよ」と告げます。狐はびっくりし、後ろに手を回したものの、どうにもなりません。
「この馬鹿狐め!!」と若者に叩かれ、逃げようにも酔っぱらっているものだから、あっちへフラフラ、こっちにフラフラ、なんとか山に逃げ帰ったとのことです。

 甚兵エ川原地域の人々は、昔から小坂の朝市によく行きます。小坂鉱山で働いた人も多く、大変結びつきが強いのです。また、毛馬内の『かどや』というお店は、現在も営業を続けています!
このような昔話からも、昔の甚兵エ川原地域の人々の生活スタイルを伺い知る事が出来るのです。

2012年5月掲載

■参考文献
『陸中の国鹿角のむかしっこ』鹿角市発行

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