小坂町川上(かわかみ)地域には、濁川(にごりかわ)集落と余路米(よろまい)集落を横切るように、「崩平」と呼ばれる崖地が残されています。
崩平は、1万3千年前に、十和田火山が噴火して堆積した火砕流と、1万年前から延喜15(915)年までに起こった噴火による降下軽石堆積物が、浸食されてできたものです。高さ40メートル、長さ400メートルにわたる大露頭で、正式には「十和田火砕流堆積層露頭」と呼ばれます。十和田湖誕生の歴史を知る上で大変貴重なものであり、小坂町の史跡名勝天然記念物に指定されています。
幕末の戊辰戦争後に起きた「濁川焼き討ち事件」では、濁川集落の住民が崩平を登って難を逃れ、その後、余路米集落へ身を寄せた……という話も伝わっています。
崩平は、川上地域ができる前からそこにあり、その歴史を遥か昔から見守ってきた、大切な自然遺産です。