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語りを聞く

若畑部落会 会長(平成22年度) 佐藤秀男さん

画像:若畑部落会 会長(平成22年度) 佐藤秀男さん

 「慌てなくていいから、ゆっくり休みながらでいいからな」。

若畑集落の奥宮山登山に同行した際、部落長を務める佐藤秀男さんは、登山初心者の取材班をフォローしながら最後まで付きそってくれました。周囲をたてることを忘れず、みんなが無理なく脱落しないよう見守る……これは登山に限らず若畑の活動全体にも共通していることのように思えます。

「おれは役員やらせてもらってるだけ。みんなに助けてもらって楽してるよ」。

湯沢市皆瀬の自治組織の会合に10人出席して欲しいと依頼されれば、10人きっかり出席するのは若畑自慢の一つ。しかし、それは命令して住民を出席させている訳ではありません。住民が自発的に協力してくれています。「みんな『どんぐり』だからだからよ」と笑いながら話す秀男さんにとって、集落の人々はみな対等の存在。この若畑で生きていくのに欠かすことのできない大事な「仲間」なのです。

若畑は周囲の集落との協力無しには生活がなり立たない立地環境にあります。国道398号線から若畑へ続く道は、他の集落の生活道路でもあります。「仲良くする」ということは、全ての生活に直結しています。道路の除雪や草刈り、清掃など、集落の内部、外部を問わず、「協力」しあうことの重要性を秀男さんは部落長として常に心に留めています。

秀男さんは若畑の部落長を務めて6年になります。以前は2年交代でしたが、湯沢市の合併を機に若畑では部落長の任期を固定化しました。旧皆瀬村の自治組織は、集落同士の危機意識から年間を通じて会議の場を設けています。仕事後の夜の会議の出席が多く、苦しいという思いが無いわけではありません。しかし、何もしなければこの小さな村はどうなるのか……そんな思いが頭をよぎる時、「ここで生まれ住んできた身としては、若畑が無くなるなんて耐えられない。何とかしねば」と頑張れるのだそうです。

若畑里づくり協議会の佐藤栄一さんが集落を引っ張る牽引役なら、秀男さんは最後尾からの見守り役といったところでしょう。奥宮山登山では「みなで最後まで一緒に登るからな~!」と声をかけていました。最後尾を歩く秀男さんの目には、列を作る若畑の仲間たちの姿が写ります。この日、奥宮山の上からは稲穂が実る若畑の田園風景が一望できました。……子供の時から変わらない奥宮山からの眺め。10年後も20年後も、奥宮山の上から黄金色に染まる集落を仲間たちと共に眺めるために、秀男さんの歩みは続きます。

2011年4月掲載

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