画像:金澤八幡宮奉納梵天(ぼんでん)

春を呼ぶ一大行事

 横手市金沢(かねざわ)地域には、400年もの歴史がある梵天行事が伝わっています。

 「金澤八幡宮奉納梵天」は、地元では「けんか梵天」とも呼ばれており、根小屋(ねごや)集落に位置する金澤八幡宮の大鳥居前で、梵天を激しくぶつけ合う、力強く勇壮な行事です。

 初代秋田藩主の佐竹義宣公が「金澤八幡宮」を改築した際に行った「火伏せ祭」が起源となっており、その頃から毎年2月18日に行事を行っていましたが、数年前から多くの方に参加してもらいたいということで、2月18日に近い日の土曜日に開催しています。

 各集落が、梵天の頭飾りに工夫を凝らして当日に臨むのですが、頭飾りからアメが出てくる仕掛けを作るなど、一般の参加者も楽しめるような心配りも見られます。各集落の梵天のほか、2013年に閉校した金沢中学校の卒業生たちがつくる「金沢有志梵天会」「金澤古址会」といった有志会の梵天や、金沢保育園の「小若梵天」も登場します。

 梵天が集落内の練り歩きを終えて大鳥居前に集まるまでは、「金沢八幡太鼓保存会」が太鼓を披露します。昭和61(1986)年に発足した保存会で、金沢保育園が中心となって活動しており、小学校や中学校に上がっても太鼓を続けている子供たちと一緒に披露しています。

 梵天が集まり始めると、美郷町の「菖蒲太鼓保存会」の演奏が始まり、その演奏の中、梵天の奉納が行われます。奉納するには、大鳥居をくぐった後、雪の坂を上らなければならず、さらに坂の上には、簡単に上れないように梵天の行く手を阻む人たちが控えています。上れるか上れないかの熱い押し合いが、梵天奉納の最大の見所です。

 坂を上り切れば終わりではなく、そのまま1㎞の道のりを歩き、金澤八幡宮の本殿で祈祷を受け、梵天の奉納が完了となります。

 梵天の奉納後には、梵天を奉納した若者たちが、坂の上から一斉に餅をまきます。最近では、梵天を見に来た参加者に楽しんでもらおうと、餅だけでなく、お菓子やスティックコーヒー、ぬいぐるみなどもまかれます。その後、金沢地域の企業・団体から5000個の紅白餅がまかれ、参加者は、梵天の御利益を分けてもらおうと夢中で手を伸ばしていました。

 「金沢地域の梵天が終わると春が来る」と、梵天を奉納した若者たちが話していました。長い歴史がある梵天奉納行事は、春の訪れを知らせる、地域の風物詩となっています。

令和元(2019)年3月掲載
 

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