本文へスキップ

名産を買う

阿部キヌ子さんの抹香とすだれ作り

画像:阿部キヌ子さんの抹香とすだれ作り


  横手市金井神・上坂部(かないがみ・かみさかべ)地域では、ずっと昔から自分の家で使うものは自分たちで作っていたといいます。法事などでよく使われる「抹香」や「すだれ」も自分たちで作っていました。

  キヌ子さんが作る「すだれ」は、日よけとして軒下などに下げられるものではなく、お盆の時期、墓前に供えるものの御膳として使われます。「すだれ」の上にハスの葉を置き、その上にお菓子やお赤飯を載せるそうです。すだれ作りはキヌ子さんの冬仕事で、農作業が終わってから3月頃まで作成します。材料に使う葦(よし)の茎には太いものから細いものまであり、細い茎を「すだれ」に使い、太い茎を「棚」の材料として使います。「棚」は格子状に組まれ、すだれよりも固い作りとなっており、すだれを使う時に「台」として利用されます。

 すだれは専用の編み機で麻糸を使って作られていきます。編み機は、山菜や海藻を採取する際に重宝する「こだし」を編むものに似ています。
 すだれに使われる麻糸は、黒、紫、青に染められており、出荷する市や町によって使い分けられています。横手市内に出荷するものは黒色、横手市大森地区(旧大森町)は紫色か青色の麻糸で作成されます。
 
 「抹香」は仏前で焼香の時に使われるもので、金井神・上坂部地域で作られているものは粉がとても細かく、長持ちで全て燃えきるという特徴があります。
 
 抹香作りと材料の収集は7月から始まります。材料には桑の葉、桂の葉、ねむの葉を使いますが、ほとんどは桑の葉を使います。採取した葉は、天気の良い日に大量に天日干しにします。干したものは、キヌ子さんの作業小屋にストックされ、翌年に再び天日干しをして、機械の餅つき機を使って抹香が作られます。そうして15~20日かけて、一袋40g~50gのものを一万袋以上作ります。
 
 キヌ子さんと集落の方々が生産した「抹香」は、湯沢市、横手市内、横手市大森地区の市民市場へ卸され、大森地区にある「うえたストア」でも購入することができます。
 また、長持ちで燃え尽きがいいとのことから、お寺などから市民市場に直接注文がくるほどの人気となっています。
 
 金井神・上坂部地域で「抹香」を作っているのは、今では阿部キヌ子さんだけとなってしまいました。キヌ子さんは、「抹香作りを昔から続けることができるのは、集落の方々が手伝いに来てくれるおかげだ」と何度も話してくださいました。
 ずっと続く伝統は、集落の方々の力が合わさっているからこそ、集落の輝く財産となっていくのでしょう。
2012年5月掲載

ページ上部へ戻る