本文へスキップ

食を楽しむ

甘口の食文化

画像:甘口の食文化

 秋田県南は「甘い」食文化があると言われています。
 
 例えば赤飯。関東では「ささげ豆」か「小豆」で色を付け、ごま塩をふって食べますが、亀田では、てんこ小豆(黒ささげ豆の秋田での呼び方)と砂糖をたっぷり入れて甘く炊きあげます。(つやが出てきれいになり日持ちもよくなります)不祝儀の時には黒砂糖ごはんを炊く家もあり、また、飾り巻き寿司には、1升の米(炊く前で約1.5kg)に対して500g~800gの砂糖が入ります。

茶碗蒸し、卵焼き、ポテトサラダ、漬物などにも砂糖が使われ、甘い味付けになります。漬物だと、漬け込む材料の半分以上の砂糖がはいるレシピも珍しくありません。酢の物、そうめん、こざきねり(米粉・もち米を使ったデザート)にみかんの缶詰を飾ったり、そのシロップを使ったりすることも多く、バラエティ豊かな餅菓子にも、たっぷり砂糖が入っています。

なぜここまで甘い味付けになるのでしょうか。
諸説ありますが、一つは亀田地域をはじめとする秋田県南エリアは歴史ある米どころ、という点は見逃せません。米に不自由しないため、麹をたっぷり使った食文化が発達しました。江戸時代、飢饉の年でも年間一人1斗(約15kg)は麹にしてよい、というお触れがあったと伝わっており、贅沢な地域でした。

また、県南には大地主や大商人などの富裕層が江戸時代から戦前まで多く存在していました。そうした人々が冠婚葬祭の席で振る舞うのは、当時高価な贅沢品だった砂糖をたっぷりと使った口取りやデザートでした。宴会料理を作っていたのは各集落に何名かはいたという、料理上手な「町料理人」と呼ばれた女性たちでした。料亭や割烹が少なかった当時の秋田では、セミプロの女性料理人たちが折々の行事で活躍していたのです。砂糖が一般にも手に入りやすくなったことで、町料理人を通して、甘い宴会料理が地域に広がっていったのではないかと言われています。

では、健康や若い世代の志向の変化もあり、昔ほど思い切り甘くした料理はあまり作られなくなったという声もありましたが、伝統の味やレシピが続いていくように願わずにはいられません。
 
2013年8月掲載
■参考文献
『郷の味』 亀田婦人会 亀田地域センター
『食文化あきた考』 あんばいこう
『あきた郷味風土記~ふるさとあきたの食百選~』 秋田県農山漁村生活研究グループ協議会
 

ページ上部へ戻る