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風土を楽しむ

小神成の火まつり

画像:小神成の火まつり

-願いを天に届ける「紙風船」と2つの「天筆」-

  2月の中旬ごろ、小神成(こがなり)地域をはじめ旧太田町では、小正月行事として「火まつり」が行われています。

 昔は各集落で行われてきたお祭りですが、徐々に開催する集落が減り、小神成地域では南北小神成集落合同で行われる「上小神成の火まつり」と田の尻集落で行われる「田の尻の火まつり」があります。
 
 2月初めごろから火まつり用の紙風船の準備が始まります。高さ6mもの大きな紙風船を全部で7つも仕上げるためには、4日間でのべ50人前後の人出がかかっています。他の地域が扱いやすいビニールになる中、障子紙を使うのが小神成地域のこだわりです。「上桧木内の紙風船上げより歴史は古い」と現地の人が言うほど、昔から紙風船が伝わってきたそうです。戦後など物資不足の時期には、習字紙の失敗したもの(!)や、新聞紙(!?)を張り合わせて飛ばしたと言うから驚きです。
 
 火祭りは、土曜日と日曜日と日付をずらして「上小神成」「田の尻」それぞれで行われます。
 日中、子どもたちの餅つきで小正月行事は始まり、夜に本番を迎えます。紙風船は、バーナーで熱せられた空気で大きく膨らみ、下に取り付けられた灯油が浸みこんだ布の玉に点火されると、描かれた縁起物の絵が浮かび上がります。皆が手を離すと、ゆらゆらと天へ昇っていきます。静かな冬の夜、ゆっくりと空へ浮かぶ紙風船はとっても幻想的でした。
 
「紙風船」の他にも小正月行事として共通するのが「天筆(てんぴつ)」と呼ばれる高さ数メートルの大きな藁の塔です。
 「天筆」は、その本数と高さを集落ごとに競い合い、祭り当日は他の集落の天筆を燃やすべく、集落ごとに壮絶なバトルが繰り広げられたと言います。落とし穴はもちろん、登り口に水を撒いてツルツルにする。防御の縄を前日から湿らせたまま雪に埋めてカッチカチの棍棒にする。さらにそれをいくつも隠しておく……とても楽しそうですが、現在では藁束を使い、集落内の親子など親しい者同士で行われています。天筆は、火を付ける前に正月飾りなどが一緒に置かれ、一緒に焼かれていきます。火が付いた藁は一気に燃え上がり、「願いを天に」届けてくれるわけです。
 
 この時に田の尻集落で使われるのが、もうひとつの「天筆」です。五色の長い短冊に筆で願い事が書かれたもので、これを燃え上がる「天筆」で焼くと、強烈な上昇気流と共に空高く舞いあがります。こうして、願い事を天まで届かせるのです。
 
 また田の尻集落では、「天筆」や「紙風船」に先立って「雪中田植え」も行われます。昔は作占いの行事でしたが、今は占いは行わず、伝統行事の保存と五穀豊穣を祈るために行われています。夜、闇の中で行われる田植えは、昼間と違ってちょっと神秘的な雰囲気すら感じます。早乙女たちは田植えの格好をして、深い雪には昔の手植えと同じように「型」がつけられます。その型に合わせて「いっぺえ(たくさん)なれよ!」と声をかけながら稲藁(豊作)と大豆の枝(沢山実がなるように)を植えていきます。
 
 冬の夜空に赤々と燃えあがる火祭りは、地域の願いを天へと運びます。
2012年5月掲載
 
※産地直送ブログでも火まつりの様子を紹介しています! 是非ご覧になってください!
 
【産地直送ブログ】
→田の尻集落の火まつり 前編後編(2016年3月掲載)
手作りの紙風船が夜空に舞う!田ノ尻&太田の火祭り(2013年3月掲載)
紙風船が空に舞う「上小神成の火まつり」 (2012年2月掲載)
紙風船に天筆、そして雪中田植え!田の尻の火まつりが行われました(2012年2月掲載)
 
 

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