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語りを聞く

琴川自治会 会長(平成22年度) 武田正直さん

画像:琴川自治会 会長(平成22年度) 武田正直さん

 -琴川の新しい風を受け止める-

 2010年の琴川公民館には、7人の名人たちが若者に「すげ笠」を指導する光景が広がりました。一度は途絶えた琴川のすげ笠作りが、若者たちによって復活する……琴川で15年にわたり自治会長を務めてきた武田正直さんは、「最初に若者たちの提案を聞いた時は、どうなるかと不安だった」と振り返ります。

 高齢化を理由に解散した「すげ笠づくり伝承同好会」の名人たちに、すげ笠制作を教えてほしいと、立ち上がったのは、琴川の若者が所属する茄子地人協会。最初は戸惑いのあった武田さんも「若者たちが頑張るならば」と、5月に開校した「琴川すげ笠伝承塾」で応援宣言をします。1年を通し、伝承塾を自治会でバックアップしてきた武田さんも、塾の終盤では、自前のすげ笠作りに乗り出し、8月に茄子地人協会が主催した「五里合ものづくり学校」には、自治会メンバーとともに、率先してイベントの運営をサポートし、地域外の若者たちとの交流を深めるようになりました。

 男鹿市の五里合地域の海沿いに位置する琴川は、江戸時代の紀行家・菅江真澄が花見を楽しんだ里山として知られています。武田さんは琴川生まれの琴川育ち。集落から歩いて10分もかからない安田海岸は、琴川の住民にとってかっこうの遊び場です。「五里合の中でも琴川は目立たない集落だった」と話す武田さんですが、大晦日には青年会が今も、なまはげ行事を行い、自治会でサポートを続けています。武田さんの話からは、小さいながらも自慢できる資源が琴川に残されていることが分かります。

 琴川地域でも少子高齢化による変化はここ30年ほどで、はっきりと目に見えるようになりました。商店は次々と店じまいし、路線バスも廃止されます。世帯数も20戸ほど減少し、逆に一人暮らしの独居世帯は増えています。

 そこで、琴川自治会では、2011年に「地域おこし協力隊」の受け入れを始めることとなりました。「地域おこし協力隊」は、都会から新たな人材を受け容れ、村おこしのお手伝いや田舎での定住を進めるという国の制度です。少子高齢化のうねりの中で、小さな変化が琴川に訪れ始めているのです。

 武田さんは、今後の琴川の活性化のためにも、新しい世代にバトンタッチしたいと、15年つとめた会長職を次世代に引き継ぎました。今後は、琴川の休耕田にすげを植え、すげ笠を通じた琴川の住民と外部の人々との交流の手助けをしたいと願っています。

 すげ笠と若者、そして地域住民が手を取り合うことで、新しい希望が生まれ始めている琴川。武田さんもその変化の中の一員として、次世代の若者をサポートしていきます。

2011年4月掲載

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