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風土を楽しむ

琴川すげ笠伝承塾

画像:琴川すげ笠伝承塾

 北前船によって加賀から伝わったとされ、江戸時代から脈々と受け継がれてきた琴川のすげ笠の技。かつては盛んに行なわれていたすげ笠作りですが、時代とともに衰退していきました。

平成9年、その技法を絶やすまいと「琴川すげ笠づくり伝承同好会」が結成されましたが、作り手の高齢化に伴い平成19年には活動を休止、これにより琴川のすげ笠作りはいったん途絶えていました。

地元琴川で喫茶店を営む佐藤毅さんがこうした現状を新聞で知り、自身が所属する地域活性化を目的とした若者グループ「茄子地人(なすちじん)協会」に相談したことから、すげ笠伝承のための活動が始まりました。茄子地人協会によるすげ笠作り保存の活動は県のチャレンジ支援事業にも採択され、「琴川すげ笠伝承塾」を開講、琴川に伝統工芸復活の光が差しこみました。

現在、琴川に住むすげ笠の作り手は7名。県内各地から幅広い年齢層にわたる塾生たちは琴川に集い、講師となった名人たちから熟練の技を学びます。4月には1年間の成果を披露する発表会を行ないます。完成させたすげ笠が名人たちより認められれば、塾生たちは晴れてすげ笠の伝承士として認定されることになります。

伝承塾の会場は、周囲に田んぼが広がる琴川の公民館。足場がなくなるほど多くの参加者が集まります。名人たちはみな70、80代。若い参加者も多く「孫ができたみたい」と喜びます。名人たちとの会話を楽しみながらの塾は笑い声であふれ、和やかな雰囲気にあふれています。

「若い人たちがわざわざ来て、すげ笠を作りたいと言ってくれる。本当にありがたい」「熱心に取り組んでくれてうれしい」と名人が感激し、何度も口にする様子がとても印象的です。すげ笠作りの技術を後世に伝えられること、昔のように楽しくすげ笠作りができることの喜びが名人たちの笑顔になって表れていました。

伝承塾は、日本青年団協議会が主催する“2010全国地域青年「実践大賞」”の実践大賞を受賞するなど県内外の注目を集め、「琴川のすげ笠」の知名度も少しずつ高まっています。

 この一年の成果を生かして、いっそ活発な活動を目ざすという伝承塾。昔ながらのよいものを見直す動きもある今、秋田の農作業にすげ笠が再び使われている風景が見られるのも、そう遠くないことかもしれません。

2011年4月掲載

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