「房住里の会」の名称は、地元住民が誇りにしている
房住山にちなんでつけられました。千年以上も語り継がれる「
房住山物語」を掘り起こし、地域の復興につなげる期待が込められています。
この会の特徴は女性が多いということです。「女性が生き生きしている組織は上手くいく」という加藤会長の持論が影響しているのでしょう。
第一日曜日に「ふるさと交流館」で開かれる朝市は女性陣の独壇場で、「はい!今日の分」と売り上げを手渡す姿に、男性会員は頼もしさを感じている様子。
男女の仲が良いのは昔からのようです。時代もまだ明治の頃、木材運搬用の手押しトロッコに乗りたがる男女が押し寄せて、断る方が大変な苦労をしたとのこと。森林軌道が通った当初の、微笑ましいエピソードが残っています。
上岩川は戦後から青年会の活動が盛んになった地域でもありました。会員は男女合わせて90人余り。それぞれが資金調達・資材運搬にあたって、「中央青年会館」を完成させています。弁論大会・演芸会・体育会などを催すかたわら、恋愛や結婚についても熱っぽく議論を交わしたそうです。
「房住里の会」には、年を経て再び結成された青年会といった雰囲気があります。空き商店を改装した拠点「ふるさと交流館」に集う面々に、限界集落の悲壮感などはありません。地域おこしはこれからですが、加藤会長が始めに掲げた「みんなで楽しく」という目標は、もう達成されているようです。
■参考資料
『わがふるさとの歴史 上岩川中央根っこの会編』
平成22(2010)年4月掲載