4月17日(日)、湯沢市岩崎地域で鹿島様の衣替えが行われました。
岩崎地域には3体の鹿島様が祀られていますが、この日は、末広町(すえひろちょう)と緑町の2体の衣替えがそれぞれの町内で行われましたよ。^^
上の写真は末広町の鹿島様と町内の皆さまです。
それでは当日の様子をご紹介します♪
鹿島様は地域に邪悪なものや、疫病が入ってこないよう祀られている、わら人形の道祖神!鹿島様の衣替えは毎年1回春に行われている地域の特別な行事です。
※鹿島様についてはこちらからどうぞ→「わら人形の鹿島様」(元気ムラサイト)
こちらは緑町の衣替えの様子です。
緑町の鹿島様は、国道13号沿いに設置されています。
朝8:00開始で、この日は20名ほどの住民が集まりました。

 

 


鹿島様は体のパーツを個々に分けて作っていきます。この日一日だけの製作では間に合わないので、前もって製作している部位もあります。
上の写真は藁の量が最も必要な腕や腹の部分を住民がせっせと編み込んでいる様子です。「しべとり」と言って藁についている余計な部分を取り除いてから縄を編み、完成品をさらに柔らかくするために木槌(きづち)でたたいていました。

 
こちらは、「横綱」と言われるお腹に巻き付けるパーツです。数年前までは1本の太いものを作っていましたが、かなりの労力を伴うため、現在は3本の縄を巻き付ける手法に変えて製作しているそうです!
「地域を守る大事な神さんだから、適当にはできねんだ!綺麗にでかさなくてはいけないべ。」とベテランの住民の方がおっしゃっていました。

 
鹿島様の衣替えは、体力も神経も消耗します。緑町では、合間に休憩をはさみます。^^
この日は、ほぼ快晴で風もなく暖かく、休憩時間は住民の皆さま、思い思いにまどろんでいました♪
写真右上の方は御年85歳の佐々木さん。普段は俳句を詠むのがご趣味だそうです。この日も「俳句が浮かんだ。どれ、紙とペンを貸してくれ。」と、一句、詠み始めましたよ(^^♪
ここでは休憩時間も貴重なコミュニティの場になるようですね。

 
衣替えもそろそろ佳境に入ります。完成したパーツを一つずつ、組み立てていく作業に入りましたよ!
一つ一つ、ゆっくり丁寧な作業で進んでいきました。^^
皆さん、天気も良いので、自分のペースを保ち、楽しみながらの作業でしたので、完成には6時間ほど費やしました。


翌日に、完成した鹿島様の写真を提供していただきました!男性の神様と言われており、りりしい姿ですね♪

『「鹿島様」「総会」「なおらい」の三つは春の恒例行事として長いこと当たり前のようにあった。これが町内のみんなと触れ会う場となっている。最近は隣近所と喋る機会もなくなって楽しみが無くなってきていた。鹿島様は人と話すきっかけになり、つながりを作ってくれる♪』と、この日、参加していた緑町の住民の方が話してくれました。

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続いて、末広町の様子です!末広町の鹿島様は水神社のさらに裏手に祀られています。
こちらの鹿島様は、年々知名度が上がり、道祖神に関心がある方ならばご存知の方も多いはず。^^
 

 
緑町と同じ、朝8:00から作業が始まっていました!この日の参加者は28名ほど。末広町では全世帯から1名以上、参加することとしています。
昨日まで身につけていた鹿島様の衣をはぎとり、“しべとり”で出た余計な部分と一緒に、こちらでは火をつけて焼いていきます。
その炎を利用して、新たに編んだ部位の藁がはみだしている箇所などを綺麗に燃やし取っていました。

 

 

 
住民の方々は、黙々と自分の担当パーツの作業に取り組んでいます。
手つきは職人そのもの!慣れた手つきでどんどんパーツ作りをしていました♪

 
こちらは参加が今年で3年目の高橋さん。1年に1回しかないこの日に技術を覚えようと一生懸命にとば編みをしていましたよ。^^
「1年ぶりなので忘れてしまうこともあって。。。」と言いながらも、真剣に黙々と取り組んでいました♪
末広町の住民の方々にとっては、当たり前に存在する行事で、技の伝承も仕事のような感覚になっているのではないでしょうか。


末広町では今年も技の伝承のため、各パーツの動画撮影を行っていました。次世代に技を引き継ぐための大事な作業になっています。撮影するパーツが多すぎるため、全行程の撮影には数年かかるようです。

 
作業開始から約2時間半!パーツが出来上がり、鹿島様が新しい衣をまとっていきました。
ここでも、若手の方はご年配から指導を受けていましたよ♪


11時頃には全て完成です!新しい藁の香が漂っていました。^^
最後は皆さんで新たな衣をまとった「鹿島様」に参拝しました!

以上、二つの町内の作業の様子を今回は同時に取材してきました。
とにかく巨大な神様なので大量に藁を使用します。これを確保するために緑町と末広町では共同で、地域の田んぼで稲刈りをしています。機械作業では藁の確保が厳しいため、全て手作業です。
ちなみに下の写真は、昨年秋の稲刈りの様子です。現地から写真を提供していただきました♪
 
このように、鹿島様の衣替えには、準備段階から多くの住民が参加して、一大イベントを力を合わせて成功させてきました。
この先も、スムーズに世代交代をしながら地域の道祖神を守り続けていってほしいですね(^^♪

おまけ(^^♪


岩崎地域の千年(ちとせ)公園から眺めた鳥海山と、桜です。
このブログを掲載する頃には満開を迎えていることでしょう。^^

以上、岩崎地域から集落活動コーディネーターがお届けしました!