前回は、2月1日の様子をお伝えした
大館市・山田地域とNPO法人「銀座ミツバチプロジェクト」の皆さんとの交流ですが、
後編では2月2日の様子をお伝えします。
朝8時30分、前日にホダ木を消毒した場所に集合、
このかまくらが今回大活躍します。
今日体験する作業は「植菌」です。昨日消毒した
ホダ木にマイタケ菌をふりかけて再び密封します。
と、書いてしまえば簡単ですが、
実際は絶対に雑菌を入れないように、慎重な作業が求められます。
前編の最後に出したこの写真、気づいた方もおられると思いますが
これがマイタケ菌が培養されたビンでした。
しかも、中の菌がポイントです。
一般的にスーパーに流通しているマイタケの品種は「森51号」ですが、
今回、山田地域のマイタケに使われるのは別の二種類です。
世界遺産白神山地から採取された菌を使った「あきた白神の舞」、
そして、山田地域の山から採取され、秋田県森林技術センターが培養した
マイタケ菌、その名も「山田」が栽培されます。
ところで、なぜかまくらの中で植菌作業を行うのかというと、
比較的簡単につくることができて、
一度殺菌してしまえば、地面からも天井からもほとんど菌が着かないという利点があるからです。
問題は作業する人が持っている菌です。
こちらを防ぐために、ポンチョ、マスク、手袋をして作業します。
かまくらの入り口はビニールシートで覆われて、
作業中は、よほどのことが無い限り出入りできません。
山田地域の赤坂さんからの説明も、
細かいところにまで及びます。
使うスプーンはバーナーで裏表とも殺菌して使い
柄のはじっこを持って使います。
中程を持ってしまいがちですが、
するとビンの奥から菌を取り出そうとしたときに端を持ってしまい、
袋に菌を入れたときに中程の握っていた部分から雑菌が移ってしまいます。
ビンもホダ木の袋も、絶対に上を向けてはいけません。
いくら雑菌が少ないかまくらの中とは言え、
空気中にはまだ雑菌が居るかも知れません
そうした菌が落ちてきても、ビンや袋に入らないようにする対策です。
説明を受けた銀座ミツバチの皆さんが稙菌に臨みます。
天井部分は雑菌が少しでも落ちてこないように、ビニールで覆われています。
さらに人が入ったら、かまくら全体をアルコールで消毒します。
アルコールに浸かっているスプーンを取り出して
バーナーで炙って殺菌。
菌は、ビンを横にしたまま慎重に取り出します。
そして、ホダ木の袋をサッと開いて投入。
素早く袋の口を閉じて、折り曲げます。
ホチキスで留めたら、丁寧にコンテナに並べます。
慎重に作業を進めました。
この日は合計350本のホダ木に稙菌しました。
この冬は7班体勢で1月19日から26日までの一週間、
さらに予備日の今回2月1日・2日を合わせて
山田地域全体では3200個のホダ木が製作されました。
作業が終わった後は山田分館で記念撮影をし、
お母さん方の心づくしの料理でお昼です。
豚汁が疲れた体に染みます。
その他の食材も全て山田産のものです。
お土産もたくさんいただきました。
山田地域の皆さんと別れを惜しみつつ、
次の訪問先へ出発です!
続いて向かったのは、能代市にある、秋田県立大学「木材高度加工研究所」です。
風の松原のすぐ横にある研究所です。
木材高度加工研究所と銀座ミツバチプロジェクトとは、
銀座のビル屋上にある杉の間伐材(杉を育てる際に生育途中で間引かれた木)
を使った移動式プランターの製作などを通じて交流があります。
まずは、研究所についての説明をしていただきました。
木材高度加工研究所は、
日本の大学機関に属する研究機関として唯一「木材」の名を冠する研究機関として
最先端の研究を今も続けています。
ちなみに、能代市・常盤地域の「常盤ときめき隊」ともつながりがあり、
玄関には「ときめき隊」の名前が入ったカヌーが置かれていました!
実際の研究成果を見せていただきました。
研究所で開発した「柔らかい木」の実物を触りました。
……ぐにゃっと曲がる感触が不思議です。
研究施設内の見学もさせていただき
銀座の紙パルプ会館屋上に置かれたプランターの試作品もありました!
使いやすさだけでなく、作業工数やコストを考えて、様々な工夫がされました。
実際に銀座で使われている写真がこちらですね。
研究室で実際に木を曲げたり
木の圧縮の様子を見学したり、
圧縮された木がお湯で元に戻る様子なども見せていただきました。
たった1泊2日でしたが、
山田地域のホダ木づくり体験と交流、そして釈迦内サンフラワープロジェクト
木材高度加工研究所と、盛りだくさんの交流会でした!
以上、広域連携推進員がお届けしました。