8月25日、上小阿仁村で行われている
「KAMIKOANI PROJECT(外部リンク)」のイベントの一つ、
「第2回番楽サミットと上小阿仁伝統芸能イベント」に参加しました!
午前の部では、「道の駅かみこあに」隣にある上小阿仁村生涯学習センターで行われた「番楽サミット」として
八木沢番楽の調査を行う「現代舞踏家」の森繁哉(もりしげや)先生による
「上小阿仁村の伝統芸能調査基調報告」の講演、その後、午後から行われる「上小阿仁伝統芸能」で
駒踊りや番楽などを披露する保存会の皆さんをパネラーに、シンポジウムが行われました。
アートプロジェクトを行う理由や思いには、
「自信を取り戻す」「出会いの機会」「村にあるものの良さを外からの視点で見つけてもらう」
といった「村の外からの視点」や、村に訪れるたくさんの方々との「ふれあい」がテーマになっています。
作品を製作する皆さんが「旧沖田面小学校」に滞在するなど、「若い力を呼び込む」こともテーマのひとつです。
●現代舞踏家、森繁哉(もりしげや)先生
「文化を根付かせようとする新しい姿勢」これがとても大事なことだと森先生が話します。
「地域にあるものを守りながら、どうやって外に開いていくか。」
「外の人たちの目線でここにしかない文化を残していく。」
KAMIKOANI PROJECTは地域づくりの大きな一歩なのですね。
地域で行うイベントの中に込められた大切な思いを再認識できた番楽サミットでした。
さて、午後はいよいよ八木沢地域で伝統芸能が披露されます!
小沢田(こさわだ)駒踊り、大林獅子踊り、八木沢番楽と、
上小阿仁村の伝統芸能が集結!
さらに由利本荘市の本海獅子舞番楽も披露される一大イベントなんです!
楽しみ~楽しみ~♪
小雨ですが大丈夫ですよね、きっと!
八木沢地域に設置されたアートの数々を楽しみながら、
棚田に設置された舞台に向かいます!
いよいよ、小沢田駒踊りが始まります。
小沢田駒踏み保存会の田中会長は「馬引き」という、駒を引き連れてくる役目を務めます。
駒踊りは武士が戦場を駆け巡っている様子をあらわしています。
小沢田駒踊りは一時途絶えた時期がありましたが、
昭和57年(1982年)に保存会が結成され、今も小沢田地域で守り伝えられている伝統です。
昔は48演目あり、万歳も披露されていて、誰でも参加できる「行事」でした。
そのため、太鼓の音が聞こえると地域の皆さんは
いても立ってもいられなくなるほど楽しみな行事だったそうです。
今は駒踊りとやっこ踊りが継承され、毎年小学校の体育の時間の学習として
継承活動が行われています。
駒踊りの途中、すさまじい雨がおそってきました。
スコールの中でしたが、小沢田駒踊りの皆さんは
全て踊りきりました!
青いビニールシートを舞手の皆さんや観客の皆さんで持ち上げて、
雨宿りをしてしばらく待ちますが、一向に雨が止む気配がありません。
「大雨のためイベントは中止とさせていただきます……」
秋雨前線のばかぁ~(泣)
泣く泣く、イベント期間中「八木沢カフェ」を開催している八木沢会館に戻ると、なんと吉報が。
「八木沢カフェ内でイベントを再開します!」
中に入ってみると、舞台が目前に。
舞手の息づかい、そして床を通して伝わる振動。
観客の方の中には「棚田で見るよりこっちで見る方が良かった」という方も。
●本海獅子舞番楽
本海番楽の根は中国にあるといわれています。
演目の中で多いものは「源平の合戦」で、舞は48番まであります。
払い獅子、四季舞、神の舞、武士舞、女舞、道化舞など、様々な舞があります。
今回はその中の演目のひとつが舞われました。
●八木沢番楽
八木沢番楽は北秋田市の根子地域の「根子番楽」と、
もとは同じルーツだといわれています。
昨年、平成24年(2012年)には「上小阿仁村・大地の芸術祭」の中で
2つの番楽が分かれてから約200年ぶりに根子地域と競演しました。
八木沢番楽と根子番楽はルーツは同じであるものの、
それぞれ独自の変化が遂げられています。
華麗で演劇的な構造で、文化人類的な視点を明らかにしている根子番楽、
古い形をとどめ、荒々しく原型的な八木沢番楽。
八木沢番楽は文化10年(1813年)から舞われており、山伏の考えが舞に組み込まれているといいます。
●森繁哉先生による舞踏作品
「道化舞」「巫女舞」「武士舞」など、聞き慣れた名前の舞もありますが、
それぞれ独特な世界観があり、グッと引き込まれてしまいます。
猿の面を付けた創作舞踏では頭から足の先まで猿の動きと形を表しており、
ダンダンと踏みならされる足音も舞曲のひとつになっていました。
「人じゃないなにか」つまり「猿」がそこにいるような不思議な感覚になりました。
今回、観賞することはできませんでしたが、
大林獅子踊りは農作業をテーマとしており、土を耕す、天を仰ぐなどの動作を
踊りにあらわしているといいます。
踊りが好きな方が太鼓や笛を聞きながら作ったのではないか、と伝わっています。
踊りを「生み出す」ということが伝統なのではないだろうか、と大林獅子踊り保存会の
畠山会長は話していました。
数々伝わる番楽や踊りには、その地域での生活の一部が
さりげなく組み込まれているものなのかもしれません。
最後に紹介するのは「旧沖田面小学校」に展示された作品。
とても見応えがありました。
小学校の風景に溶け込む作品の数々。
広い空間にぽつんと置かれたこのボールも、何かのメッセージなのでしょうか?
ボールを前にしばらく考える取材班。
作品が日常の風景にスパッと溶け込んでおり、学校に残されているものも全てアート作品に見えます。
製作された作品と、普段何気なく使っていたもの。ここにあったもの。
それが組み合わさって「ひとつ」のアートになる。そう思わずにいられませんでした。
様々な芸術、伝統に触れることができた上小阿仁村から
広域連携推進員がお届けしました!