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産地直送ブログ

県立農業科学館の「炭焼き」復活なるか!?-後編-

2013年3月26日

前編でお伝えした通り、秋田県立農業科学館の炭焼き窯復活1日目は残念な結果となりました。

焼けるかな?

しかし! それでへこたれる名人たちではありません。
3月14~15日の2日目、3日目の様子をお伝えします。

朝、名人達が再び農業科学館に集結します。
3人の名人たちの予定はギリギリ、
今日上手く点火できないと、炭を出すことはできません。
不完全なまま3日間を終えてしまうんではないか、
せっかく呼ばれたのに結果が出せないのではないか?
と、3人ともプレッシャーで眠れなかったそうです。

師匠集合

藤原さんは、近くに住んでいることもあり、
早くにきて窯を開けて再点火を試みました。
フケ(煙の吸い込み・火の勢い)が良くなるように、
自分の家から煙突を持参し取り付けましたが……やはりうまくいかない様です。

窯の準備もそこそこに「ミーティングするべ」と佐藤さんからの提案
窯の状態がわからないので、これ以上火を付けるのではなく
じっくりと方針を話し合って、窯の状態を見極める算段をつけます。

ミーティング

まず、窯の状態の仮説を立てます。
1.煙がほとんど上がらなかったのは、空気の通り道が塞がれている可能性が高い。
・天井の支持材が上手く焼け落ちなかった?
・クド(煙突部分)の狭くなっている部分が何か(木? 土?)で塞がっている?

2.大量の水蒸気が発生したことから、窯の内部が湿気っている可能性がある。
・谷間に作られているにもかかわらず、暗渠(地中の排水)が設置されていない。
・もしくは、処理しきれないほどの大量の地下水が貯まっている。

ミーティング2

どちらにせよ、「窯をいったん空にして中を確認する」ことが必要です。
さらに、湿気が多いようであれば、窯の底を掘り返して
暗渠の状態、地下水の状態を確認しなければなりません。

方針が決まりました。
・まず、窯の中から木を全部取り出す。
・窯の状態を見て、湿気がひどいようであれば掘り返して暗渠を確認する。
(ただし、丁寧な窯の造りから見て、暗渠がある可能性が高い)
・湿気がひどい、もしくは窯内部が修復が難しいほど破損している場合は、再び善後策を検討する。

調査します

3人が窯へと向かいます。
まずは、消火した窯から木を取り出します。
朝、点火を試みてはいますが、それでも昨日よりはずいぶん温度が下がった窯、
ようやく木を取り出すことができます。

あまり燃えていない

取り出されていく木は、ほとんど燃えていません。
「火が回っていないな……」と皆さんが感想を漏らします。
しかし、天井の部材が落ちてくると……

焼けています

燃えてます! 火がここまで回っていた証拠です。
また、地面もサラサラで湿気があるようには見えません。
驚くのは、まったく窯の中を見ないで、
内部の木が詰まった状態を正確に予測していた名人たちです。
「これは木を詰めすぎたか、もしくは土が詰まってるな」
という判断の下、次々と木を取り出すと……。

詰まってる!

奥で煙道が見えたようです。
「土が詰まってら!」

石窯内部

外に見学者用の断面図がありましたのでこちらで解説しますと、
白い矢印部分が詰まっていたようです。
どうやら、煙突(クド)から2年の間に土が落ちて塞いでしまっていただけのようです。
想定としてはごく軽い窯の損傷です。土をかき出すだけで直りそうです。
予想されるのは東日本大震災の影響。
震災と、その直後の平成23年4月19日に起きた近隣での直下型地震によって
煙突部分がダメージ? を負ったと考えられます。

煙突の中を確認

土をかき出した後、ライトで照らしながら煙突の状態を確認します。
今度は問題無さそうです。

いよいよ再点火!

木を立てやすいように土の勾配をならし、
木を若干少なめにして立てていきます。

どうかな? 煙が出てます!

いよいよ再点火です。
点火してすぐ、勢いよく煙突から煙が出てきました。

入道雲

白い煙が上がっています。
入道雲のような煙です。

アカクビ

1時間ほどしてこれが徐々に黄色みを帯びてきて……
「アカクビ(赤首?)」と呼ばれる煙の状態になりました。
こうなると点火したと思って良いそうです。
辺りは煙の濃い匂いが立ちこめます。

須田さん

今回は、秋田市民活動センターの須田さんも来てくれました。
鵜養の話し合いや、炭焼きにも顔を出している方です。

魂火?

また、「魂火(たましいび)」と呼ばれる窯の上部を漂う人魂のような火が見えると
奥の木まで十分火が回った目安になるそうです。

食事中 十分かな?

今日もお昼は窯の前で食べますが……。

煙沢山です

「十分だな」の一言で急遽窯の口を閉じることに。
念のために燃焼時間を多めに取っていましたが、
思ったよりも早く状態が良くなったようです。
「これは良い炭が出るかもな」と名人たち、
乾燥しすぎで焼けてしまうかもと言われていた木ですが、上手くいくかも知れません。

塞ぎます

窯の口を塞いで(クワす、クワして、と言うそうです)、むし焼き状態にします。
これから一晩掛けて、じっくりと木から不純物が抜け、炭に変わっていきます。

道具製作

炭をかき出す道具が見当たらないので、その場の部材で作ってしまいます。

杉の青葉 もらいました!

炭を冷やす水を掛ける道具「杉の青葉」が必要なんですが……。
敷地内に良さそうな杉があったので枝をちょっと頂いて製作しました。

次の日!

晴天かつ大安!

快晴かつ大安吉日! 今日こそ良い炭が取れそうです。

アラシ

窯は午前5時から藤原さんが時々様子を見て、窯の口を調節してくれていました。
窯の口には空気穴が開けられて、
少しずつ入った酸素が窯の温度を上げて炭を仕上げていきます(アラシ)。

シロアサギ 透明

煙の色が変わったのが分かるでしょうか?
「シロアサギ(白浅葱?)」と呼ばれる煙で、うっすら青紫ががっています。
これから白が消えて「アサギ」になり、最終的に煙が見えなくなったら窯出しのタイミングです。
煙に透明感が出て、朝日を浴びて透き通っています。(農業科学館の方が気づいてくれました!)

御幣をはりなおし

というわけで小休止を挟み、窯出しのために炭焼き小屋の整理をして、その時を待ちます。
ところが炭を冷やすための土が、なんとカチコチに凍っていることが判明。
ツルハシでも崩れないので、急遽土を用意します。

アサギ 炭の様子

とはいえ、もうここまで来ると煙の状態も良く、空気穴から覗く炭の状態も良さそう。
アサギと呼ばれる青紫の煙が確認できます。
皆さんの顔に安心感が漂います。

透明になりました

煙が透明になりました。

いよいよ窯出し

いよいよ窯出しです!
県立農業科学館の館長さんをはじめ他の職員も、
仕事の合間を縫って見学に来ました。

炭出し! 出しとんび

1000℃前後の真っ赤に燃えた炭を「出しとんび」と呼ばれる道具で取り出して……

炭が出てきました

炭の形を見た名人たちが出来を確かめます。
「良い炭だな」
木の形が崩れないで残っている炭が多いのは良くできた証拠です。

良い炭

どうやら炭焼き窯は無事復活したと言って良さそうです!

かき出します

先日作った道具でさらにかき出します。

土をかけます

すぐに土を掛けて、炭を冷却します。

白い炭

この時、冷えた炭は真っ白になります。
なるほど「白炭」なんですね。

職員も体験中

集まった職員の方も炭出しを体験します。

良い炭です

堅く締まった炭ができました。良い状態の炭のようです。
炭同士を叩くと「キンキン」と金属音がします。

食事です

窯からすべて取り出すと、一旦休憩。少し早いお昼を頂きます。
天気も良いし、窯の火も消えたので外で食べました。

マッカ 職人芸

次回の炭焼きに向けて、熱い窯に木を立てていきます。
「マッカ」と呼ばれる二股の金具が付いた木の棒を使って窯の中に木を入れます。
これがなかなかコツがいる作業で大変です。

炭を取り出します

そうしたうちに土を掛けた炭が冷めたようなので、炭を取り出します。
熊手を使ってかき出すと、そこに先日作った杉の葉っぱで水をまんべんなく振りかけます。

杉の葉で水を

続いて裏返してもう一度、完全に消火したか確認しながら作業します。

水蒸気

熱気と水蒸気が立ちこめます。

袋詰め

冷めたところで、形の良い炭、大きな炭を手で仕分けして袋詰めします。
残った土と炭が混ざったものは、

ゴミをふるい落とします

このふるいで土をふるい落として袋詰めします。

展示予定

これらの炭は展示品だけでなく、イベントの参加賞としても使われます。
また、これから農業科学館まつりに合わせて、炭焼きが行われる予定だそうです。

佐藤さん寄贈

最後ですが、農業科学館の玄関付近には、今回焼いた白炭だけでなく、
今回佐藤さんが寄贈した炭俵も飾られています。

無事復活の様子を、広域的集落支援員がお届けしました!

Author: | Category:07秋田エリア, 7 地域間交流, 鵜養(うやしない)地域


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