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産地直送ブログ

県立農業科学館の「炭焼き」復活なるか!?-前編-

2013年3月22日

平成25年2月15日のブログでお伝えした秋田県立農業科学館の炭焼き窯復活ですが
3月13日~15日にかけて、いよいよ炭焼きが行われました。

復活なるか?

当日の様子を前後編にわけてお送りします。

佐藤さん 高田さん

13日、秋田市河辺の鵜養集落から炭焼き名人の佐藤進(すすむ)さん(写真左)と高田寛(ゆたか)さん(写真右)が
県立農業科学館へとやってきました。
農業科学館では、今回の復活に当たって様々な道具の修繕や準備を行ってきました。

秋田県立農業科学館

また、農業科学館までは鵜養集落から片道1時間近くかかるということもあり
名人の2人がなんども足を運ぶのは難しいという問題もありました。
「炭焼き窯の近くで炭焼きができる後継者がいるなら」という条件で
今回の窯の復活が決まりました。

藤原清一さん

今後、農業科学館の炭焼き窯を焼くことになったのが、
大仙市・南外の炭焼き名人藤原清一(せいいち)さんです。

清一さんの黒炭の窯

藤原さんは自宅に「黒炭(くろずみ)」と呼ばれる方式の炭焼き窯を持ち、
炭を各地に出荷している方です。

指導中

今回は「白炭(しろずみ)」の作り方を鵜養集落の名人2人から教えてもらって、挑戦します。

「白炭」「黒炭」というのは、それぞれ炭の焼き方による違いです。
「白炭」は、窯出しの直前に1000℃まで温度を上げ不純物を焼き切り
真っ赤に熱した炭をそのまま窯から取り出して土をかけて急速冷却します。
「黒炭」は、焼き上げまでは白炭と重なる部分もありますが、
取り出す前に窯の口と煙突を閉じ、酸素を閉め出すことでじっくり消火するという違いがあります。

「白炭」は炭全体が堅く締まっているのが特徴で
・燃焼時間が長い
・不純物が少なく煙やにおいがほとんど出ない
という特徴がありますが、
・値段が黒炭より高い
・火が付きにくい
という欠点もあります。

一方「黒炭」は、すこし柔らかめの炭で
・比較的手軽に買える価格
・火力が強い
・火が付きやすい
という特徴がありますが
・燃焼時間が短い
・煙やにおいが気になるときがある
と、双方利点と欠点が表裏一体の炭になっています。
ちなみに秋田県の白炭・黒炭は「秋田木炭」として高品質な木炭として評価されています。

今回秋田市河辺・鵜養集落と大仙市・南外の名人3人が復活に挑む炭窯は「白炭」用で、
ほぼ3年ぶりに火が入る(窯の「ハチ」と呼ばれる上部が作り直されてからは初めて)炭窯です。
何が起こるか分かりません。

御幣

まず一番最初に行うのは「神事」です。

神事

佐藤さんが作った御幣を作業所の四隅に配置し、窯の前に神棚を作ります。

祈ります

米と塩をまき、山の神と火の神に作業の安全と良い炭が出るように祈りました。

煙突チェック

次に、道具と煙突部分(クドと呼ばれる)部分のチェックです。

煙突調整中

レンガで高さを調整します。
「(焼いている途中でも)フケ(燃え方)で高さを調整するんだ」と教えてくれました。
煙突を高くすると、空気を吸い込む力が強くなり、フケが強くなります。

点火

いよいよ窯に点火します。

点火中

窯の口に薪をくべて、一番奥の木まで火が移れば点火完了です。
午前10時、火がくべられました。
名人の予測だと「ハチ(窯の上部の膨らんだ天井部分)」を上げるために、
炭にするための木の他に、大量の木が天井部分に入れられており、
それらが焼け落ちるまで点火できないだろうということでした。
案の定、部材に阻まれてかあまり煙が出てきません……。

煙が

この時、窯の中は木で満たされていたため、中の様子を見ることは出来ませんでした。
写真右下の部分、窯から煙が逆流して入り口から吹き出しています。
空気の通り道が十分に確保されていない証拠です。

窯から水蒸気

普通に使用している窯に点火するだけでも3時間、
初窯のため冷え切った窯を暖めること、ハチの支持材が焼け落ちることを考えると、
かなりの長丁場になりそうです。
窯全体から水蒸気があがっています。湿気った窯の温度が上がり一気に乾燥してるようです。

点火しません

1時間ほど火を付けましたがどうも様子がおかしい様です。
「口に木が詰まりすぎてて火がいかないんじゃないか?」

燃えてない

ということで、中の木を何本か取り出します。
すると、あれだけ火を勢いよく燃やしていたのに……?
木が殆ど燃えずに残っている部分があります。

再点火

再点火!
今度は……大丈夫……でしょうか?
とりあえず様子見です。

ご飯中

火を付けた後は、不測の事態に備えて火の側を離れることは出来ません。
ご飯も弁当持参で炭焼き小屋で済ませます。

やはりおかしい

昼過ぎ。やはり様子がおかしいみたいです。
「もう火が付かないといけないのに、煙の様子が変わらない」
確かに、煙の勢いが変わりません。
再び木を抜きましたが、煙があまり変わらない様です。

炎

午後2時、点火から4時間経過。
この頃になると、佐藤さん、高田さん、藤原さんとも「窯の調子が悪い」
という結論になりました。
もうそろそろ、窯の上部構造材が焼け落ちて煙が出るのでは?
という時間になっても煙の出がよくありません。
原因を調べようにも、点火した今日は窯全体が熱くなっているので中に入ることも出来ません。
そこで、とりあえずもう少し様子を見て、ダメだったら窯の冷めた
明日朝に調べてみようということになりました。

話し合い

結局、午後4時まで6時間点火を試みましたが、火が付くことはありませんでした。
大量の水蒸気が出ているのが気になります。

タガネで

ちょっと重苦しい雰囲気の中、明日のための準備が進みます。
火付きの様子を見るための穴の位置を変更するために
タガネで窯に穴を空けます。

口を閉じます

窯の口が石と粘土で閉じられます。

チェーンソーで ヘラの完成

途中、道具が足りないとその場で作ってしまいます。
チェーンソーとナタだけであっという間に土をならすヘラができあがりです。

閉じられます 煙突も閉じます

窯は東日本大震災前に作られた後、職人の方が急逝し窯の復活が難しくなっていたものです。
震災で窯の内部が大きく崩れ、深刻なダメージがあるのか……?
それとも、谷間に設置された窯のために、地下水が流れ込んで湿気が貯まってしまったのか……?

いずれにしても致命的なダメージであれば、復活はできません。

……窯は復活できるのでしょうか……?
(以下……後編に続きます!)

Author: | Category:07秋田エリア, 7 地域間交流, 鵜養(うやしない)地域


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