尾去沢鉱山の山陰にある鹿角市の三ツ矢沢地域。
そこの中新田集落では、今も林業が行われていますが
かつては鉱山町に売る炭焼きが盛んでした。
そんな山の仕事の無事や繁盛を祈る「山の神のお祭り」が
2月10日、集落で行われました。
お酒を飲む神様(!)をご覧下さい。
お祭りは、中新田集落の会館に集合するところからスタートです。
この日目指すのは、集落のすぐ裏にある山の中腹「山の神神社」です。
今回は取材もあるということで、昔ながらの格好で岩城会長が登場!
背中の風呂敷には掛け軸が入っています。
また、若い人たちも参加してくれました。
出発です!
鳥居から先は女人禁制が今でも守られています。
山の神様は女の神様なので、女性が入ると嫉妬してしまうと言われています。
山は急な登りですが、
お堂までは地元の方が踏み跡を付けてくれていたおかげで楽に登ることができました。
10分ぐらいで到着です。
ご神体があるお堂の奥には巨大な岩が!
こちらには祠がくりぬかれています。
また、雪に埋もれていますが、お堂の側にも小さな岩が祀られているようです。
ふもとから持ってきた「大山の神」と書かれた掛け軸を下げ、
お堂から出した燭台にロウソクを立てて、三カ所に皆で参拝します。
お堂の中には、棟札や奉納札が沢山掲げられており、江戸時代の年号が見えるものもあります。
草刈り器の歯がさげられていましたが、これは鐘の代わりに使っているそうです。
神様に息を吹きかけないように、口に紙を咥えてご神体を出します。
ご神体は林業を司るため、斧を持っていますね。
なんと! 神様の口に御神酒を注ぎます。
このとき、神様の顔が赤くなると言われています。
参拝が終わった後、お供えした魚とちょうど大館で開催されていた「アメッコ市」のアメを頂きました。
アメッコ市には、その日にアメを食べると風邪をひかないという言い伝えがあります。
ありがとうございます!
ここで、集落の皆さんが、昔のお祭りの思い出話をしてくれました。
昔は、山の上で若い者が歌を歌わされたこと
校歌でも流行歌でもなんでも良かったそうです。
さらに、昔はこの後の直会(なおらい)のごちそうに山鳥を捕まえたそうです。
朝早くから中新田集落を挟むように両側の山に陣取り、脅かして鳥を反対の山へ飛ばし
また脅かして反対の山へ飛ばし、疲れ切って木の根元などに隠れた所を捕まえるという、
昔ながらの鉄砲も弓も使わない猟で捕まえたそうです。
若者達は木に登って鳥がどこへ飛んだのかしっかり見ていましたが、
見逃すとこっぴどく怒られたそうです。
しかし、鳥もさるもので、逃げ込んだはずの木の根元を探してもいっこうに見つからなく
仕方なく離れると鳥が飛び出して逃げられた……なんてこともあったと言います。
思い出話に花を咲かせた後は、山を下りて「宿」の当番になっている家に向かいます。
かつては、ここで直会の宴会も開かれ、さらに宿泊までしたそうですが、
現在は負担を考えて先ほどの掛け軸を飾って改めて参拝するだけにして、
宴会自体は会館で行われています。
また、会館ではこの日に合わせて総会も行われました。
その横では地域のお母さん達が腕をふるい、料理を作っています。
左上からなめこの山かけ、ぜんまいの煮物に
左下が鳥のかやきに漬物等々……沢山の料理が用意されていました。
たくさんの料理についての話を伺うこともできました。
中でも、お母さん方のお話で出た「フキを干した保存食」の話がとっても気になります。
今後も、三ツ矢沢について、沢山ご紹介したいと思います。
以上、広域的集落支援員がお届けしました!