元気ムラ応援サイトで直根神社祭典、虫追い行事を紹介してきた
由利本荘市鳥海の前ノ沢集落。
元気ムラ応援サイトで紹介している中直根集落お隣の集落です。
その前ノ沢集落で活躍する「鳥海前ノ沢太鼓保存会」の練習にお邪魔してきたのでご紹介します!
鳥海前ノ沢太鼓保存会の皆さんです。
1990(平成2)年から前ノ沢集落の有志で和太鼓の活動を開始し、
正式に保存会を結成したのは1993(平成5)年。
2010(平成22)年には結成20周年を迎えています。
当初メンバーは男性のみでしたが
1993年からは集落の女性も参加するようになり、
由利本荘市を中心に演奏活動を行っています。
フォレスタ鳥海の「鳥海新緑祭り」「法体の滝紅葉まつり」での公演も定着してきています。
※リンクをクリックすると昨年、一昨年の様子が掲載されています。
取材した日の次の日も、由利本荘市のカダーレで公演が入っていました!
練習場所は直根神社そばの前ノ沢町内会館です。
それぞれ仕事を終えたメンバーが集まり、太鼓の下打ちを行いました。
窓の向こうは真っ暗ですが、メンバーの様子が窓に映るので
練習チェックにちょうどいいんだそうです。
10分間の下打ちの後(10分叩き続けるのは相当ですよ!)
「烈風」「東(あゆ)の風」「リズム(里鈴夢)」
保存会のオリジナル曲3曲を練習しました。
「烈風」は冬に吹く鳥海の風をイメージしています。
一番特徴なのがシンバルの使用です。和太鼓の演奏に珍しいですよね。
……というか、格好いい!!!
雪国の地吹雪など「鳥海の風」を表現するのにシンバルの音があっているそうです。
「烈風」は保存会の代表曲でもあり、メンバーの間でも人気の曲です。
保存会のオリジナル曲については次のリンク先をご覧ください。
→鳥海前ノ沢太鼓保存会のオリジナル演目
結成当初は曲も無く、太鼓を叩くだけだったそうですが、
当時の前ノ沢町内会長・真坂市郎さんは保存会を応援するために
なんと中太鼓5個、大太鼓2個をポケットマネーで購入して提供してくれました。
この真坂さんの後押しを受け、オリジナル曲「烈風」が誕生しました。
今では「烈風」は保存会に欠かせない代表曲となっています。
会館には1994(平成6)年、当時の鳥海町 紫水館で行った
初のチャリティー公演の写真が掲げられていました。
この時は500人来場者で賑わったそうです。
公演のキャッチコピーは「天までとどけ 生命(いのち)の鼓動」。
実は、この公演を楽しみにしていた真坂市郎さんが、公演前に他界されてしまいました。
「天まで届け」というのは、天国の真坂さんへのメッセージでもあるんです。
2010(平成22)年には結成20周年を記念し、
初公演の場・紫水館でチャリティー公演を行っています。
真坂市郎さんのエピソードについて
保存会の村上善直さんがウェブサイトに綴っているのでぜひご覧くださいね。
→前ノ沢太鼓の歴史と支えた人々
→鳥海前ノ沢太鼓保存会・結成時のエピソード
太鼓に興味を持ったきっかけはメンバーそれぞれに異なります。
お嫁さんの父親が叩いているのを見て憧れた男性、
演奏する父親についていき、太鼓を叩きたくなった人もいます。
保存会の男性たちに誘われた女性は
「三度の飯より太鼓が好き、練習の日は楽しみで仕方ない」と話します。
最近はソロ演奏する団体も増えてきましたが
前ノ沢では発足当初から全員の音を合わせるスタイルを守っています。
「全員の音がぴったり合うこと」が一番大事で、
「息切れするところもちょうど合う(笑)」そうです。
練習終了後の休憩風景です。
年齢、男女問わず仲がいいんです。
練習中、遠く離れた猿倉集落まで太鼓の音が聞こえるという大音量ですが、
地域の人々の理解もあり、練習を行っています。
法体の滝紅葉祭りで演奏していたところ
鳥海山を登山していた人が山頂で太鼓の音を聴き、下山後に
「太鼓の音が聞こえた」と教えにきてくれたエピソードもあるんです。
みなで一斉に叩く前ノ沢太鼓の音は、胸に響く重厚なものでした。
演奏後、「おめ~ら良かった!」と言われることがやりがいになる、とメンバーの皆さんは話します。
天国の真坂さんも、きっと今でも前ノ沢太鼓の音を聴いていることでしょう。
「うちでぜひ演奏して欲しい!」という方がいれば由利本荘に限らず公演を行っているので
詳しくは鳥海前ノ沢太鼓保存会のウェブサイトをご覧くださいね。
広域的集落支援員が、前ノ沢太鼓保存会のリポートをお届けしました!