「根子番楽まつり」が6月10日(日)、「にほんの里100選」に選ばれた阿仁根子(北秋田市阿仁)で2年ぶりに開かれ、大勢の観光客で賑わいました。
一般の参加者約150人に加え、根子集落の人たちも懇親をはかるために集まりました。
※元気ムラの「根子」集落のサイトはこちら。
「根子番楽」は、集落に元気を取り戻そうと一昨年、「根子菜の花番楽まつり」として開催しました。
しかし昨年は、東日本大震災が発生したことから中止となったのです。
今年は2年ぶりの開催となり、期待が高まります。
取材班は、車で阿仁合方面から国道105号線を通り、笑内(おかしない)駅近くまで来たところ、「根子番楽」の青い旗が多数立てられていました。係の人が数人おり、右折するとトンネルへ行くと案内してくれました。
(後に、会場で聞いたところ、あきた美人ライン(秋田内陸線)に乗って電車で笑内駅から歩いて来た人も多かったです)
そして、話題の根子トンネルへ着きました。
入り口はしっかりしていて、まるで映画の「千と千尋の神隠し」に出てきたような、ノスタルジックなトンネルです。
写真を撮りながら、トンネルに入る前に取材班が話をしていると、なにやらトンネル内から声が……。
実は、自分の声なのでした。
山のこだまと同じで、ものすごく反響しているんですね。
トンネルを車で進んで行っても、なかなか先が見えません。<後でトンネルの長さが576メートルと分かりました>
そのまま進んで行くと、ありました! 途中で車のすれ違いができるように待避所が……。これなら安全です。
やがて、明かりが遠くに見え始め、わくわく感が高まります。
トンネルを抜けると根子集落でした。
田園風景の中に、家々が見えます。
トンネルから車で下っていくと、係の人の案内で、根子番楽の公演会場である旧根子小学校へと近づきます。
「マタギの里 根子番楽」の青い旗が幾つもはためいています。
国道105号線から右折してトンネルへ進む場所にも、係の人とともに青い旗が多数立てられていました。根子番楽の会場には、この青い旗を目印にして来るといいんですね。
根子番楽の公演会場は、旧根子小学校の体育館です。
係の人から駐車場に案内され、車から降りて行くと、人だかりが……。
野菜などの臨時直売所でした。
ひとまず受付に行くと、「根子入村手形」なる木札を渡されました。これが、予約していた昼食の引き替え券でもあるわけです。
番楽は、根子番楽まつり実行委員会・根子自治会の主催です。実行委員長で平成23年度から自治会会長でもある佐藤哲也さんにあいさつしたあと、通り過ぎた臨時直売所を取材。ミズ、ウルイなど豊富な山菜を販売していました。
●写真左がウルイ、右がミズです。
佐藤会長から「若い人が減っている」と聞いていましたが、直売所に二人の娘さんが集落の法被を着ていたので、ちょっとびっくり。
聞くと、秋田大学の学生が手伝いに来ているのでした。
受付を終えて、秋田大学地域創生センターの松岡昌則教授とお話したとき「学生4人を連れてきました」と聞いていたので、そのうちの2人だったんですね。
法被姿がお似合いでした。
若い人が集落の応援に来てくれるのは本当に頼もしいですし、若い人と地域の人の双方にとってうれしいことです。
元気ムラ支援室でも、若い人が元気ムラの行事に参加するのは大歓迎。ほかの地域の元気ムラにも、大学生など若い人たちが支援に行くケースが増えています。
いよいよ、おまちかねの根子番楽の始まりです。
この日は、「露払い」「翁舞」「鞍馬」「三番叟(さんばそう)」「尊我(曽我)兄弟」「鐘巻」の6演目が演じられました。
皆さん、週一回は練習しているとあって、大変上手です。演じる方の職業は会社員や公務員など様々ですが、熱心な練習の成果なのでしょう、一つ一つの動作がぴたりと決まっています。
●「露払い」 舞曲の最初の舞で、小学生の3人の女の子が演じます。
「鞍馬」では、小学生6年の子を弁慶が長刀(なぎなた)の上に乗せたポーズに観客から大拍手が起こっていました。
●勇壮活発な「鞍馬」(左)と、天地長久を祈る「翁舞」
足の運び、体の柔軟さ、太刀や扇のさばき方、そして時には曲芸風の動きもあって、観客からは「おーっ」という声が出ます。
集落の外から、5人の子どもが週一回の練習に通っていると聞いています。
若い人が伝統芸能の継承に携わってくれることはうれしいことですね。
「尊我(曽我)兄弟」では、刀が合わさるときにバチッと火花が出て、迫力満点。
「五郎」を演じた畠山充さんは24歳の好青年です。
「鐘巻」は、「紀州道城寺の安珍・清姫の物語で、女人禁制の鐘巻寺を拝もうとした女が鐘に閉じ込められ蛇身となり、旅の山伏が蛇身を祈り伏せる」という舞曲です。
蛇が出てきて戦うところは、蛇が煙を吐いて、観客を楽しませてくれました。
●旅の山伏が蛇身を祈り伏せるという筋の「鐘巻」と会場の様子
横手市から初めて見に来た女性は「大変良かった。すごかったの一言です。秋田県にはいい伝統行事がいっぱいあるので、北上・みちのく芸能まつりのように数日にわたって秋田県の伝統芸能を披露する機会があれば、多くの人が参加できるのではないでしょうか」と話していました。
最後は、番楽を舞った全員による記念写真。一人何役も兼ねている方が多いです。
「根子番楽」は国指定重要無形民俗文化財に指定され、県内外で公演をしています。
今年(平成24年)は8月14日午後7時30分から、根子の同じ会場で演じられますので、ぜひお出かけ下さい。
※元気ムラの「根子」集落のサイトはこちら。