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産地直送ブログ

故郷に戻ってきた、鉱山(やま)の人々を守る掛け軸

2011年11月11日

林業と鉱山に関する絵

11月6日、元気ムラ取材班は、北秋田市阿仁の上小様地域にやってきました。
以前のブログで向林集落のそば畑をご紹介しましたが、
上小様では、休耕田を活用して蕎麦栽培に取り組んでいます。
この日は、上小様ソバ生産組合が、JAあきた北央の伊藤鶴一氏を講師に招き、
そば技術の講習会を開き、同時に講話会と収穫祭が開催されました。

●営農講習「ソバ技術講習会」
そば講習会 向林のそば

場所はいつもの三枚分館。
上小様では、2010年から「ソバ収穫祭」を行っています。
昨年はレクリエーションと合同で行い、住民総出の大賑わいだったそうです。
今回の収穫祭は、他の行事が重なってしまい、少人数での開催となりましたが、
地域の耕作面積のうち、半分近くを占める蕎麦の収穫アップに向けて、
講習会では、住民のみなさんが真剣に耳を傾けていました。

●蒲義美先生の講話会
蒲義美先生

講習会のあとは講話会で盛り上がりました。
講師を務めるのは、秋田市在住で、外旭川小学校の校長を務めた蒲義美先生です。
蒲先生は、昭和27年ごろまで上小様の三枚に住んでいらっしゃったそうです。

講話会のテーマは、次につなげるための「温故知新」です。

●忘れられない記憶
小様トンネル

久しぶりに上小様を訪れた蒲先生は、1997年に完成した小様トンネルや
地域の道路の素晴らしさに感激した様子でした。
写真は小渕から見た小様トンネル、右側の狭い道が、昔の旧トンネルに通じる道で、
今も小様トンネルの上には、旧トンネルが眠っています。
※旧トンネルは現在、通行止めとなっています。

小渕から見た景色 上小様の秋 

蒲先生が三枚に住んでいた当時、人々は阿仁合の街中に行くために
「つま先の爪が痛くなるような峠」を越えなければいけなかったそうです。

また、当時の道路は、今よりずっと狭く、
冬は雪が腰までつかった状態で歩いたと、先生は言います。

そんな中で、唯一、峠を越えなくても阿仁合に抜けられるルートが、
三枚の奥にある「三枚天池隧道」。
約4kmに渡る鉱石を運ぶための隧道(トンネル)です。
入り口は現在封鎖されていますが、
中は今も阿仁合に通じているのではないかと言われています。

カンテラ 当時の生活を描いたイラスト

電灯が無かった当時、蒲先生は「カンテラ」と呼ばれるガスランプを使い
真っ暗なトンネル内を40~50分かけて歩いたと言います。
当時はトロッコが稼働していたので、よけながら進んだそうです。
その他にも「吊るしランプ」や、木材の運び方など、当時の生活を
記憶を頼りにイラストにおこしてくれました。

美しい小様川 小様川のカジカ

ちなみに、現在も夏に行われている「小様川のカジカ突き」ですが、
昔は、子供の「遊び」兼「仕事」だったそうです。
子供たちが取ってきたカジカは当然晩御飯。カジカは重要な食料だったんですね。

登場した山神の掛け軸

さて、そんな講話会の中で、先生が持ってきてくれたのが冒頭の写真の「掛け軸」です。
「山神」と書かれています。

先生が持ってきた掛け軸 掛け軸の絵 鉱石を掘るツルハシ

掛け軸には、林業を象徴する「斧」を持った男性と、鉱山の鉱石を持った女性、
そして女性の横には、鉱石を掘るために使うタガネのようなものが描かれています。
先生の祖父は鉱山で働いており、家族は鉱山で働く祖父の安全を祈願し
床の間に、この掛け軸を飾っていたそうです。

見たことあるという掛け軸

これどっかで見たことあるなぁ
みなさんは、掛け軸に見入っていました。
ひょっとしたら山で働く人々の安全を祈願し、
各家々で、このような掛け軸を飾っていたのかもしれません。

先生は、今回、自分の記憶を頼りに当時の生活をイラストで再現してくれました。
持参した掛け軸を見て、上小様のみなさんも、
眠っていた記憶が蘇ってきた様子です。

蒲先生

先生は「三枚での生活は忘れられない」と話します。
「あんなところをよく歩いたと思います。
しかし、当時の暮らしが今の生きる力のもとになっている」
三枚でのかけがえのない経験を講話で話してくださいました。

上小様のなんこ鍋

さて、講話会も終了し、最後を締めくくったのが「収穫祭」です。
阿仁名物、馬肉を使った「なんこ鍋」!

上小様のきりたんぽ 上小様の蕎麦

さらに、きりたんぽにお蕎麦と、お腹いっぱい、いただいてしまいました!

先生を囲んで懇親会 縄綯大会の様子を説明

こちらは、先生を交えての懇親会の様子。右写真は、小様酒和会・会長の宮野さん。
先日、横手市で行われた縄綯いプレ大会・名人部門で
2位をとった福田和子さんの様子を住民のみなさんにご報告中です。

懇親会のあと、収穫祭の記念撮影を行おうとすると……

記念撮影の前に

「先生は真ん中!真ん中!」

福田さんに賞状をもたせる

「和子さん、賞状持って!」

上小様は戸数19戸という小規模集落ですが、
地域が一つの家族のようにまとまっています。

懇親会で福田さんの縄綯いの様子や、蒲先生の話を、
みなさんが耳を傾けて聞いてる様子を見ていると、とても、あたたかい気持ちになりました。

向林のそば畑

蒲先生は、「夢と意思があれば何とかなる」と講話でお話されていました。
この絵葉書のような向林のそば畑の風景は、
まさに、上小様の人々の夢と意思の表れ。
この美しい風景から生まれた上小様の蕎麦を、沢山の人々に食べて欲しいです!

Author: | Category:05北秋田エリア, 上小様地域


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