小さな集落で守られてきた伝統

 8月6日、旧暦の七夕に合わせて行われる「大谷七夕」は、大館市大葛地域の中で一番南にある大谷集落で行われる行事です。
 大人たちは、灯籠がいくつも付いた、まるで竿灯のような竿を、子供たちは灯籠を一つずつ手に持って、軽トラに乗った太鼓の先導に従ってゆっくりと集落を周ります。
 その灯籠の様子は、近隣の大館市中野地域で行われている、中野七夕を彷彿とさせます。先祖供養の意味もある中野七夕と違って、大谷七夕は、めでたい「お祭り」、豊年万作を祈って行われます。
 
 平成23(2011)年には、大葛小学校の閉校の年度ということで、子供たちのこれからの活躍を祈って、小学生全員を招待して行われました。掲げられた灯籠には子供たちの小学校の思い出がいくつもきらめいていました。
 また、地域おこし協力隊の手により、この年の3月に起きた東日本大震災の復興支援のための応援メッセージが書かれた竹筒灯籠が、なんと遠く徳島から、ここ大葛地域まで運ばれて灯されました。「少しでも被災地の側で灯したい」という徳島勝浦町の地域おこし協力隊と大葛地域の地域おこし協力隊のコラボレーションによって実現したものでした。
 
 大葛地域の中でも大谷集落で戦前から変わらず受け継がれてきたお祭りです。戦時中には一旦中止され、途中「もうやめよう」という声もありました。
 しかし、平成23(2011)年からは大葛地域の将来を考える会からの補助もあり、灯籠を新調、補修などをすることが出来ました。
大谷七夕は小さな集落に伝わるお盆前の風物詩です。
 
平成23(2011)年4月掲載

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