二車線の市道から由利本荘市三ツ方森(みつかたもり)集落へと曲がると、急に視界が開けてきます。それもそのはず、三ツ方森の会館周辺は、山の稜線となっているうえに、周囲に殆ど木が生えていない、広大な草地が広がっているのです。
この絶景を維持しているのが「三ツ方森の山焼き」で、300年もの伝統を誇る、三ツ方森の人々にとって大切な「仕事」です。
現在でも重要なのが病害虫の防止と、山菜類(わらび、ユリの根)の育成などで、「根花餅」も、この山焼きあってこそのものです。しかし山焼きには伝統的に、もっとたくさんの理由があったのです。
草地にするのには理由があります。それは「草」の確保で、かつて牛馬を使っていた時代、牛や馬の餌は非常に重要なものでした。大量に消費される牧草を確保するかどうかは、農作業にまでかかわる死活問題なのです。
また、藩境監視の藩命を受けた三ツ方森の人々は、谷間ではなく、見晴らしの良い山の稜線付近に居を構えました。必然的に田畑にできる平地は小さくなり、山菜(わらび・ユリの根)などを貴重な資源として活用してきました。山焼きをやることによって灰が肥料となり、山菜と牧草は立派に育つのです。
その山焼きも、人手不足により続けるのが困難になりました。その時、同じ由利本荘市石沢地区の有志グループが協力してくれたことにより、行事が継続され、最近では秋田県立大の学生さんや行政関係者も加わって行われています。途中、コロナ禍で不可抗力での中止はあったものの、現在も伝統は受け継がれています。
【お問い合せ】石沢公民館
●住所:〒015-0086 秋田県由利本荘市館中島372
●電話:0184-29-2111
【関連リンク】産地直送ブログ
→3年ぶりに三ツ方森集落の山焼きが復活(2022年5月掲載)
→日本晴れの三ツ方森で山焼きの伝統に触れる(2019年5月掲載)
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