画像:安全寺里山保全会 会長(平成28年度~) 安田孝彦さん


     安田さんは安全寺自治会の会長を務めていた頃に里山保全会を立ち上げ、3年間、自治会と保全会の会長を兼任していました。

 安全寺地域では安全寺小学校が昭和62(1987)年に閉校してから、地域の行事が少なくなり、長年続けていた盆踊りも行われなくなってしまいました。
  また、農業従事者の体力の限界などから耕作放棄地が増え、放棄地は美しい棚田の風景が見られる「なまはげ大橋」から見える田んぼにも及びました。

そんな中、安田さんは地域の老人クラブの会員が4人しかいないことを知ります。地域のコミュニティ活動が停滞していることを知り、「このままでは故郷が死んでしまう」と危機感を覚えたと言います。 
「地域活性化を目指しながら、耕作放棄地をなんとかしたい」。その思いから、「農地・水保全管理支払交付金」の政策に向けて動き出しました。草刈りや水路の泥上げなど個々では負担になってきた作業を地域全体の共同作業で行うなどしてきました。
 
また、秋田地域振興局農林部で行っている事業「里山の美田オーナー」にも応募し、平成26(2014)年度から5年間活動をしてきました。年に2回、田植えと稲刈りを体験してもらい、地元のお母さんたちが作った料理をふるまうなどして、美田オーナーの方々と交流会を行ってきました。
地域の外から訪れた方々との交流で、地域住民が元気になり、老人クラブのみならず、女性たちの会が出来たり、途絶えていた盆踊りが復活したりと、安全寺地域の会や行事にも活気が出ました。
 
安田さんの目標は「少しでも農業寿命を延ばす」こと。
保全会が立ち上がった頃から、さらに会員の高齢化が進み、令和3(2021)年度に保全会を再編し、新たに婦人部を設けました。婦人部の方々は、農閑期には毎月1回、地域の産物を使った郷土料理教室を開催しています。次世代に残していきたいという想いもあるからです。保全会としても稲作をやめた田を管理し、耕作放棄地を畑に耕し、大豆やソバなどの畑作にも取り組んでいます。
 
安田さんが描くのは、御山のふもと、青々とした田が広がる風景の中に住民が元気に暮らす声が響き合う姿なのでしょう。
 
平成29(2017)年3月掲載
令和3(2021)年2月更新
  
【関連リンク】産地直送ブログ
再び地域を元気に!男鹿市安全委地域で「ソバ打ち」の練習♪(2021年2月掲載)
 
 

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