八木沢番楽は、文化十年(1813年)、上小阿仁村の八木沢集落を開拓したと言われる村田徳助が、北秋田市の根子から八木沢に移り住んだ時に伝えたと言われています。
裏表12演目・計24演目が伝えられ、現在「露はらい」「鞍馬」「曽我兄弟」「鐘巻」「鳥舞」の5つの舞が残されています。かつては、お盆に八木沢集落の大きな家で演じられました。番楽が行われると聞けば、上小阿仁村の人々も集まってくるほどの人気だったと言います。
八木沢番楽は、演じ手が戦争で出兵したため一時期中断しますが、若者が復員してから、八木沢番楽保存会が結成され復活しました。昭和57(1982)年、上小阿仁村の無形民族文化財に指定されています。
番楽に使用される「龍」は、保存会が結成時に修復した道具の一つで、花火を散らせながら生きているように動かす、番楽の花形の演目です。八木沢番楽は、県北地区の郷土芸能大会やNHK秋田スタジオで演じるなど、集落外で多く演じられるようになりました。
その後、八木沢番楽は、後継者難により1989年頃、再び途絶えてしまいましたが、平成22(2010)年、「番楽を後世に残したい」と上小阿仁小中学校から依頼され、保存会は八木沢に赴任する地域おこし協力隊の協力を得ながら、再び番楽復活に取り組みました。平成22(2010)年10月16日、上小阿仁中学校の文化祭で10人の生徒たちにより、演目「露はらい」が復活を果たしました。現在、学校の文化祭や、村のイベントなどで披露されています。
■参考文献
『上小阿仁村史・通史編』
『上小阿仁村百年誌』
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