子育て応援講座

平成26年12月25日  第3回◆「『感情を修理する道具箱』と『行動活性化』について~認知行動療法の考えから~」

児童期編  講師:「<児童期>子どもの心の問題」 小泉ひろみ 講師

 これまで、「感情」と「考え」についてみてきました。違う考えを見つけることで、気持ちや感情は変化しますが、とっても調子が悪い時って違う考えを探すなんてまったくできず、世界で一番自分が不幸だって思ってしまいませんか?そんな時に、ちょっとずつ何か行動をすることができると、困った気持ちが少し軽くなることがあります。考えも少しずつ変えることができる場合もあります。今回はその「行動」のお話です。

 

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  日曜大工に使う道具箱には何が入っていますか?トンカチ、のこぎり、ドライバー、釘など様々ですね。オーストラリアの臨床心理士のトニー・アトウッド博士が提唱している「感情の道具箱」は、認知行動療法プログラムの1つで、感情を修理する道具箱になります。様々な心のトラブルに陥っているお子さんやご家族に大変有用な演習になりますが、学校などで子どもたちに「こころを知る」「ストレスに対応する」などといった「心を強くする」ための認知行動療法を使ったお話の中でも使用できるわかりやすい内容です。

 
 
  それでは「感情の道具箱」に何が入っているか、見てみましょう。感情のエネルギーを前向きに解放する道具と、考え方を改善するための道具に大きく分かれます。「身体の道具」は、体を動かすことによって感情のエネルギーを解放します。大工道具では金づちで表現することができます。スポーツばかりでなく、家事や調理の中でも体を大きく使うことでスッキリするものであれば、何でもOKです。2つ目は「リラックスの道具」です。普通の道具箱の中では、柔らくて触ると気持ちの良いブラシのようなものです。3つ目は「交流の道具」です。気分を変えてくれる人(動物でも)を見つけます。4つ目は「考えることの道具」で、考えによって感情を変える練習をします。何かをちょっとだけやってみて、考えや気持ちがちょっと変化することも知ります。その他、アトウッド博士はいくつかの専門的な道具を紹介しています。
 
 子どもたちが心の状態が不調な時、道具箱が空っぽになってしまっていることが多いです。その状態で、長い期間欠席が続いた後なんとかがんばって学校に行ったとしても、この道具箱が空っぽのままでは、何かちょっとしたできごとや、ひとことで、すぐに元にもどってしまいます。「身体を動かす」「お手伝いをする」「誰かと交流する」「外へ出かける」「将来のことを考える」「楽しい思い出がある」「リラックスする自分のやり方がある」「手を使う仕事」「物を作る」などなど、少しずつでも道具箱にたまってくると、小さな1歩を出すことができるようになり、ちょっとしたトラブルやストレスに対応できるようになります。  
 
 「行動活性化」という手法もあります。まず、現在自分でできている行動を記録します。そして「達成感」と「楽しさ」で点数をつけて、その中でどれか毎日できることを探します。そしてそれを少しずつでも毎日やっていきます。  
 
 どちらの方法でもいいですが、行動は「回避行動」でないものを探します。調子の悪い時ってどうしても、嫌なものから避ける行動をとりたくなります。何か回避行動ではなくて、何ならできるかを見つけて、小さな一歩を出していくことが大切です。それを手伝ってくれる人も大切です。
 
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  参考)
「自分でできる認知行動療法」清水栄司著 星和書房
「子どものための認知行動療法練習帳」R.D.フリードバック著 創元社
「だいじょうぶ自分でできる心配の追いはらい方ワークブック」ドーン・ヒューブナー著 明石書店
「子どもと若者のための認知行動療法ガイドブック」ポール・スタラード著 金剛出版
「アトウッド博士の<感情を見つけにいこう>」トニー・アトウッド 明石書店 
その他
 

 

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