ぼくの もものき

 お母さんに桃の木を買ってもらい、ベランダで育てることにした男の子。土や肥料と一緒に鉢に植えて、水をたっぷりやると、翌日には薄いピンク色の花が咲きました。その後も、花はどんどん開いていきます。
 栽培を始めてから3回目の日曜日、男の子は小さな桃の実が膨らみ始めているのを見つけます。「全部大きくなったらたくさん食べられるね!」と喜びますが、大きくなれず落ちていく実もあり、残りはたった二つに。袋をかぶせて大切に見守ることにしました。
 しばらくして一つの実が、虫の被害によって枝から落ちてしまいます。桃はとうとう最後の一つに…。そして梅雨が過ぎ、夏がやって来ました。さまざまなハプニングを乗り越え、大切な桃は無事収穫の日を迎えられるでしょうか?
 毎日観察して、収穫を心待ちにする男の子の姿は、本当に桃を大切にしている様子がうかがえ、ほほ笑ましいものです。読んでいる私たちも、実がだんだん減っていく場面にハラハラしながら、成長を見守ることができる1冊です。

 春らしい気候になってきました。皆さんも、大好きな果物作りに挑戦してみませんか?きっと男の子のように、大きな発見があることでしょう。

佐藤美郷(秋田市立新屋図書館)

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対象年齢 小学校低学年ぐらいから
作者名等 広野 多珂子/文・絵
出版社 福音館書店