表紙解説・編集室から

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今月の表紙と作者

おとこ(油24.2×33.3センチ)
 木村恭己(きむらやすき)

 一九四七年、大曲市川目に生まれる。70年秋田大学美術科卒業。72年、自由美術協会展に初出品、初入選。75年、76年、同展において佳作作家賞を受賞、78年自由美術協会会員に推挙される。ことし八月、秋田市で初の個展を開いた。現在、自由美術協会会員。現職仙北中学校教諭。大曲市川目字川目113〜1住。

 作者のことば

 いつだったか、湯本温泉で酒を飲む機会があり、すずめの丸焼きが出たことがあった。羽根をむしられて焼かれたすずめは、もはや鳥とは呼べず、かえるのイメージさえわいてくる。酔った勢いでかじりついたが、つるつるの頭だけはなんとももの悲しく、哀れでのどを通らなかった。結局頭だけを三個持ち帰り、アトリエの壁に張り付けているうちに、その頭がモチーフとなって、この作品が生まれた。自分なりに感じている「おとこ」の姿を表現したつもりであるが、いったい、このおとこはどこへ行こうとしているのだろうか。



編集室から

 ▽仙北町の広報担当から電話で、本誌9月号の払田柵(ほったのさく)の「柵」が誤字と言われた。早速、問題の箇所を見たが、「柵」の校正ミスでもない。どうも間違いが判らない。念のため漢和辞典を開いたら、なんと、「柵」と「棚」との二種があって、前者が正しいと明記してあった。脱帽。(佐々木)

 ▽紫根染の取材のため、鹿角市花輪の栗山文一郎さんを訪ねてお話をうかがった。その際、近年の開発で、ムラサキ草などの染料がなくなリ、製作にも影響がでていると悩みを話してくれた。そうした問題を抱えながらも、ただ一人、伝統を守っている栗山さんには、ただただ頭が下がる思いだった。(井上)

 ▽老人スポーツ大会を見学する機会があった。全県から集った選手の"若さ"あふれる競技に感心して見ていると、その中に中学校時代のM先生(当時四十代前半)の姿を発見。懐かしいと同時に、時の流れの早さをあらためて感じた次第。(小松)

 ▽十数年ぶリに、すばらしい紅葉を見た。九月二十七日、鳥海登山口の一つである矢島町祓川では"秋"という名の画家が絵筆を振っている最中だった。
 この大作が数日後に消えることを惜しみ、赤ん坊の手のひらの形をした絵の具のかけらを拾ってきた。(渡部)

 ▽オリブ園の協同保育は、健常児にとっても効用をもっているのではないだろうか。障害をもつ人と同じ社会に生きているという気持を早くから生み、偏見もなく育ってゆくのではないだろうか。互いに率直に接してゆくことにそれ程苦労しないのでは……、そんな期待ももたせる保育方法だと思った、(細部)

 ▽まち・むらで鳥海町を訪ねた。同町は県の無形文化財猿倉人形芝居の創始者、池田与八の出身地だが、これを伝える人たちは、本荘市や合川町、羽後町に移り住んでいる。ところが鳥海町でも数年前から後継者づくりに乗り出し、現在は猿倉の真坂勇太さんが、人形首から衣装、小道具、芝居のバックまで、すべて自前の手作りで演じている。いつかグラフで紹介したい。(山谷)