思う

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冷害と景気後退
  秋田県知事 佐々木喜久冶

 今年の県政での大きな問題は、冷害と景気の後退ということだったと思います。七月中旬ころまでの気象は非常に順調で、このままでいくと大豊作になるのではないか、といろいろな調査からも見られていたのですが、下旬から八月にかけては低温と日照不足が続き、稲作にとって一番大事な時期に異常気象になってしまいました。 そして東北地方の冷害の典型的な条件、太平洋側からの冷たい東風によって冷夏がもたらされたのです。そのため、太平洋側からの風の入り易い地域、県北部と山間部に大変な冷害が発生したわけです。
 冷害をうけられた農家の方々に心からお見舞を申し上げます。今、一生懸命、対策に取り組んでいますので、気をおとさず頑張っていただきたいと存じます。
 平場地帯は、冷夏ではありましたけれども障害となる程の気温でなく、しかも九月の好天が成育の遅れをとりもどし、病害虫の発生も少なかったために、県中央部から南部にかけては、むしろ豊作型になり、一等米も昨年より多くなりました。この地域では余り米対策に取り組まなければならないということで、今年の稲作は、冷害と豊作が一緒になってしまい、まことに複雑な心境であります。
 経済状況も問題です。昨年からの原油価格の高騰とこれに伴なってとられてきたいろいろな村策は、物価上昇をある程度抑えることができたのですけれども半面、せっかくよくなりかけた景気を再び落ち込ませるという副作用をもおこしてしまいました。公共事業は伸びないし、高金利によって住宅建設が減る、冷夏によって夏場商品が売れないということで、建設業、木材工業、卸小売業の経営は非常に厳しくなり、冷害も沈滞感を大きくしているようです。
 国も経済政策の手直しをやりつつあるようですが、県としても不況対策に積極的に取り組んでおります。財政再建も大事なことですが、生活の安定が何よりも大事だと思います。石油問題は今小康を保っておりますが中近東情勢によってはどうなるかわかりません。不透明な時代であるだけに、体質の強い中小企業でなければなりません。当面の問題と長い目で考えていく問題とをよくわきまえて皆さまとともに対応していきたいと思います。