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秋田で医療を始める先輩たち

井上 高光 先生(泌尿器科)

地域医療の担い手

 

秋田大学医学部附属病院 血液浄化療法部 講師 井上 高光 先生

 私は千葉で生まれ育ち、高校時代はバイオリン演奏に明け暮れました。当時分子生物学と人文科学に興味があり、両方に深く関われる医師に憧れました。
浪人しセンター試験に失敗し入学試験も補欠合格で、本当に縁があって、導かれるように秋田に参りました。

卒業前は、出来の悪い私を育ててくださった秋田での人間関係を大切に感じたことと、泌尿器科学のバランスの良い幅広い守備範囲に魅力を感じ、秋田県で泌尿器科医になることに決めました。
もっと地域医療に貢献できるオールラウンドな医師になりたい、と迷っていた私に、所属していた秋田大学室内合奏団の当時顧問をして下さっていた加藤哲郎泌尿器科名誉教授が問いかけました。

 「井上君、君は音楽を完璧に知っている巨匠バイオリニスト、ヤッシャ・ハイフェッツがフルートもトランペットもオーボエも吹ける必要があると思うかい?」
「いやいや先生、バイオリンだけ極めれば音楽全体は自ずと見えて来るんだと思います。」
「井上君、医学も同じだよ、君は泌尿器科を極めなさい」

と、まるで宗教家の暗示にかかったかのように泌尿器科を選択しました。

 現在は泌尿器科腫瘍学と腎移植および透析医療を専門として働いています。この道を選んで10数年になりますが、日進月歩の泌尿器科最先端医療を秋田 県で実践し、秋田県の泌尿器科地域医療のレベルアップに貢献したいという思いは変わらず、今でも暗示にかかって良かったと思っています。

 京都大学への国内留学時には患者さん側が医療者を審査して選びぬき、医療者側も患者さんを選んで治療する雰囲気がありましたが、秋田県は医療過疎であることからか、医療者は地域医療の担い手としての自負を感じ、患者さん側も暗黙のうちに医療者を信頼しあう、都会にはない温かい空気があると感じていま す。

 最先端医療でも地域医療でも、目の前の患者さんが少しでも幸せになる手助けをするという医療の基本理念は、変わらずひと続きのものです。

 卒業前や研修中の先生方には、ぜひ秋田県から世界に発信できる最先端医療を実践することで医療全体を理解し、地域医療ひいては地域社会にも貢献するという広い視野をもって、今後の進路を選択して頂きたいと切に願っています。

2012年1月