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語りを聞く

南沢部落会 会長(平成27年度)伊藤信義さん

画像:南沢部落会 会長(平成27年度)伊藤信義さん

   「地域のために何も考えていないわけじゃない。活動する何か(きっかけ)を待っているんだよな」そう話すのは南沢部落会の会長を務める伊藤信義さんです。

 
 信義さんは南沢地域の外で働き、30代の頃結婚したことを期に南沢地域へ帰郷し、青年会である「若勢(わかぜ)会」に入りました。
 国道285号沿いでビアパーティを開催し、車で通った方々も参加するなど老若男女が楽しめる行事を作ったほか、途絶えていた万灯火(まとび)という先祖供養の行事を昭和54年(1979年)に復活させ、その後、様々な取組を行ってきました。
 しかし、万灯火は高齢化などにより平成22年(2010年)から活動が中断されており、地域の大切な行事がなくなることに、信義さんはどこか物足りなさを感じるようになりました。
 
 平成23年(2011年)には、南沢地域にある栗山を活用するため、西明寺栗で有名な仙北市西木町へ視察に行き、とても立派な栗林に、信義さんは「自分たちに何ができるんだろう」と気後れしてしまったと言います。
 南沢地域には、地域の各家々が管理する4町歩ほどの栗山がありますが、当時、栗山の活用はほとんどされていませんでした。
 
 「せっかくの財産、なんとか活用できないか」と模索していた信義さんは、平成26年(2014年)、秋田県活力ある集落づくり支援室で行っている「GB(じっちゃんばっちゃん)ビジネス」の集落ネットワークの一員として地域の皆さんと共に活動を始めました。
 まずは、地域の中を散歩していると必ず見つける「クルミ」や、露地ミョウガを首都圏へ出荷することから、「今できることだけやろう、やめたいときはやめてもいい」という気持ちで始めました。
 実際に首都圏へ赴き店頭販売なども経験しました。地域から持って行った栗を蒸かして販売したところ、あっという間に完売。知らない土地で、知らない人の中で販売することは勇気がいることでしたが、「人ってやればできるんだ」と実感したと言います。
 
 クルミの出荷の際、ご高齢の方たちも「散歩の途中に拾ってきた」とどっさりと袋に入れて持ってきてくれるなど、地域行事が中断して以来、希薄になりつつあった地域の絆が再び強まり始めました。
 クルミを割る時には、地域の皆さんが公民館に集まって作業が行われるようになり、「今まで何も無かった地域だけど、こういった活動を通じて地域が良くなっていってくれたら良いなあ」と信義さんは朗らかに笑います。
 
 東成瀬村・椿台地域との交流も地域住民の絆を強める活動の一つです。きっかけは、平成24年(2012年)の9月、能代市で開催された「あきた元気ムラ大交流会」に参加した時、東成瀬村の椿台集落会代表の鈴木春一さんと出会ったことでした。
 鈴木さんは、リレースピーチでこのように話しました。
「地域で5年後、10年後の椿台地域の話しをしていた時、地域は無くなるという話しが出ました。しかし、その中で「10年後はみんなで花見をやろう」という声が上がり、このことがきっかけで、椿台地域全員で桜の木を植樹しました。桜が咲いたとき、もしかしたら自分たちはいないかもしれない。でも、いつかきっと誰かが喜んでくれる」と。
 このスピーチに信義さんは共感し、それからすぐに地域ぐるみでの交流が行われるようになりました。交流はその年の11月から2016年現在まで、3回に渡って行われています。
 
 「自分は火をつけただけ。地域のみんなが協力してくれなかったら、こうはならなかった」そう話す信義さんの目には、地域への愛情が溢れていました。
 
2016年3月31日掲載

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