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語りを聞く

グリーンツーリズム実践者・嶋田ヨシ子さん

画像:グリーンツーリズム実践者・嶋田ヨシ子さん

 
「大葛は、山の中の都なのよ」。
少女がそのまま大人になったような可愛いお人柄の嶋田ヨシ子さんは、大葛地域で農業を生業としています。旦那さんの嶋田久成さんは、大葛の将来を考える会の会長を務めています。ヨシ子さんは大館市比内町の西館生まれ。久成さんとご結婚されてから大葛地域に移り住みました。それから数十年、第二の人生を過ごしてきた大葛地域を、ヨシ子さんは「山の中の都」と言います。
 
大葛地域は、比内町の中心部から離れた山あいに位置します。鉱山で栄えた当時は、県外から多くの労働者が大葛地域に入り、営林署も設置され、街は活気にあふれていました。2軒あった映画館には、労働を終えた鉱夫たちが夕食後のひとときに集まり、ヨシ子さんの自宅の向かいにあった食堂には、地元の青年会が集まって歌って踊る宴会を行っていたそうです。「大葛の人たちは、考え方が進歩している」と、ヨシ子さんは感じてきました。鉱山で栄え、様々な人が入り混じることで、山里の大葛地域に、都会の文化が入ってきました。外の人間を受け入れる土壌が出来ていた大葛地域の人々を「人そのものもあったかい」とヨシ子さんは話します。
 
そんな大葛地域でヨシ子さんは、家族や仲間とともに、県外の小中学校の生徒を受け入れ、農作業を体験してもらうグリーンツーリズム(以下GT)を平成16年から行っています。子供たちとの触れ合いを「楽しい!」とヨシ子さんは話します。JAあきた北の女性たちとともにGT施設の視察や講演会にも積極的に参加してきました。その中でヨシ子さんが大きな刺激を受けたのが、宮城県の「ふみえはらはん」という農家レストランです。運転手も道に迷うような道のりを越えた先にあるレストランは、大葛地域にも、かつてあったような家屋を改築したものでした。地域の仲間が出資し、皆で運営するその姿を見て、自分たちも「やってみたい」と、農家レストランへの思いをはせるようになります。
 
「私、いつも思ってるの。何もなくても「いいなぁ」という思いを与えたいって」。ヨシ子さんが夢みるのは、大葛地域の人々で運営する、皆が居心地よく感じられる農家レストランをつくることです。「これは夢だよ」と、照れくさそうに話しますが、現在、大葛地域には、地域おこし協力隊の松原明生さんと林孝行さんが着任しています。建築士でもある松原さんは「ヨシ子さんがやるなら、自分がレストランの設計をやる」と力強いエールを送り、農家レストランの夢は、夢ではなくなりつつあります。
 
また、ヨシ子さんは、2012年3月に閉校が決まった大葛小学校の旧校舎を、レストランや、外部の人々を受け入れる学習の場にできないかと模索しています。閉校した学校の活用には様々な課題もありますが、ヨシ子さんは「あきらめる」ことはありません。「たくさんの友達と一緒にやりたい」と、夢を語るヨシ子さんの言葉には、旦那さん、家族、親戚、そして仲間たちと暮らす大葛地域への想いであふれていました。
2011年4月掲載

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