「いとこ煮」は、小豆などを煮た煮物料理のことで、北陸や山口県の萩市でも有名ですが、鹿角の伝統料理でもあり、ここ鹿角市甚兵エ川原(じんべえかわら)地域でもよく食べられています。

 冬至に食べるとその年の冬は風邪をひかないと言われ、冬の大切な栄養補給源でした。地域によって材料や調理法は様々ですが、甚兵エ川原では、カボチャ、小豆、もち米、砂糖などを使用します。

 作り方は、前日から水につけた小豆を鍋に入れて、水を小豆の上6cmくらいまで入れたら火をかけます。小豆が煮えたらカボチャを適当な大きさに切って入れ、沸騰したら、30分ほど水につけたもち米を、よく水を切って鍋に入れます。もち米が指でつぶれる堅さになったら、ザラメと塩を少々入れ、とろ火で30分ほど煮ると出来上がりです。

 お汁粉のような見た目ですが、柔らかい小豆とカボチャに、もち米が絶妙で体の芯まで温まります。

 「いとこ煮」の語源は、材料を別々においおい(甥甥)めいめい(姪姪)に煮たものをお椀の中に入れ、いとこ(従妹)同士になるということから「いとこ煮」と言われるのではないかと伝えられています。

平成24(2012)年5月掲載

こちらの記事もおすすめです

サメ出汁の納豆汁

 納豆汁は、鹿角市の甚兵エ川原(じんべえかわら)地域をはじめ、毛馬内(けまない)地域周辺でよく食べられています。  しかし、その納豆汁の出汁や具材になるのはなんと「サメ」。サメの切り身をサイコロ大に切ってジャガイモ...

郷土料理

色カブの漬物

 食紅を落としたように鮮やかな赤色をした漬物が目をみはります。普通の「白いカブ」を漬けたという漬物は、しそ漬けにしたわけでも、食紅を使ったわけでもありません。  鮮やかな赤色の正体は「色カブ」という、赤いカブです。...

漬物

甚兵エ川原地域の取組

  鹿角市甚兵エ川原(じんべえかわら)地域は、旧十和田町の最北端に位置します。古くから小坂町の小坂鉱山との結びつきが強く、住民の皆さんは小坂鉱山で働き、小坂町の市日(朝市)にも商品を出して生活の糧としていました。  ...

地域活動

地域団体