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語りを聞く

天神町内会 会長(平成22年度) 小沼昇揮さん

画像:天神町内会 会長(平成22年度) 小沼昇揮さん







上笹子(かみじねご)・天神集落の町内会長小沼昇揮さんの自宅には3つの燕の巣があります。「今年は大安の日に巣立っていきました。頭のいい燕たちですよ」そう話す小沼さんは、上笹子の砂口集落の生まれ。小学校5年生の時に、天神集落にある現在の自宅に移り住んできました。のどかな空気が流れる上笹子の自宅で、毎年、燕の巣立ちを見守ります。

65歳の小沼さんは、旧鳥海町役場の農林課、農業委員会等で働いた経歴の持ち主です。退職後も天神集落の町内会長を務め、集落と行政をつなぐ窓口となってきました。

いまでも、小沼さんにとって農業は永遠のテーマであり、切ってもきれない関係にあります。仕事を終え晩酌の一杯を傾ける時も、今後の地元の農業や集落の将来が頭をよぎることがあります。昔、上笹子では「田植え休み」「稲刈り休み」という学校の休日がありました。農繁期は家族総出で農作業を手伝うのが当たり前。子供たちが休んでしまうので、学校では一週間ほど休日を設けていたそうです。小沼さんは「東京の人は新幹線に乗って東北の田園風景を見ると、ほっと一安心するそうです。できることなら、自分たちが食べている“食”がどうすれば出来上がるのかを知ってもらいたいです」。

小沼さんは今、都市住民や若者など農業を知らない人々と集落を結ぶ橋渡し役を務めています。2009年度から天神集落が行っている大学生の農家民泊受け入れは、今後も続けていきたいと考えています。特産品の開発や伝統食の復活、天神あやとりなど、地域色を活かして自分の生まれ育ったふるさとを元気にする起爆剤を小沼さんは模索しています。

紅葉の時期に観光客で賑わう鳥海地域も、やがて雪の季節を迎えます。上笹子に住む人にとって避けることのできない冬。「だからこそ、その後にやってくる春や新緑の季節は、住む人間にとって何とも言えないものがあります」。

山菜とりが趣味の小沼さんは、「山が性に合っている」と時間があれば山に入ります。「山はそのまま後世に残るでしょう。でも家々はどうでしょうか? 私は“今”のこの景色を残していきたいです」小沼さんが残したいもの……それは水と緑と山、そしてそこに住む人々がいる、ふるさと笹子の景色です。

2010年12月掲載

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