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語りを聞く

下荒屋町内会長 多田實さん

画像:下荒屋町内会長 多田實さん

  「ここは海と山が近く最高の場所」。そう話すのは下荒屋町内会の会長を務める多田實さん。町内会館からは鳥海山と日本海が一望でき、住民は鳥海山を「おらほの山」と誇らしげに話します。神社が多く残る下荒屋地域では古くからの行事を受け継いできました。中でも5月の古四王神社祭典と8月の盆小屋行事の2つは地域の大きな柱です。多田さんは「ここはまとまりがいい。昔からのしきたりや行事が積み重なり先輩たちが地域の土壌を築いてきた」と話します。

 多田さんが町内会活動で思い出深いのは、平成16年(2004年)8月20日の未明にかけて秋田県沖を通過した台風15号です。県内の海沿いの地区を中心に大きな被害をもたらし、秋田県に天災融資法と激甚災害法が適用される程の台風でした。
中でも当時の象潟町は暴風により町内全域が停電し、台風の接近が満潮時刻と重なったため高潮が発生。防波堤も決壊し、係留していたボートや流木が生活道路に打ち上げられ被害が拡大しました。象潟町の中でも下荒屋地域の被害(全壊1棟、半壊1棟、床上・床下浸水も発生)は大きく、多田さんは「朝方、“水があがってきた”と騒ぎ始めたら、あっという間に膝上まで水があがってきて、下荒屋町内の半分は水びたしになった」と話します。
 
 象潟町全域に被害が出ていたため町役場も手が回らない中、「自分たちでやれることはやってしまおう」と、当時、自主防災会の会長だった多田さんは、町内会の12の班長に「“普請”をやる」と連絡しました。下荒屋地域で「普請」は「“みんな”で集まって掃除など何でもやること」を意味します。普段の清掃活動を行うように、各班長にそれぞれの地区をまかせ、打ち上げられたボートや大型のゴミはトラックに積み込んで後片付けを行いました。停電していたため、地域内の2軒からプロパンガスを借りて婦人部が炊き出しを行い、当時の象潟町長が下荒屋地域に駆けつけた時は、後片付けがほぼ終わっていたと言います。普段の町内の「普請」で災害の後片付けができたことに「この町内のまとまりは凄い」と多田さんは感じたそうです。
 
 現在、下荒屋町内会は毎年3月に防災訓練とワカメ収穫体験を一緒に実施しています。「これからは一人暮らしの高齢者に町内が目を向けていく必要がある。災害が起きた時、一人暮らしの人たちをどうやって避難させるか、どう見守っていくか、町内が一層まとまって地域住民のかかわり方を大事にしていきたい」と話す多田さん、「ただし、楽しみも入れないと。ワカメ収穫のようにみんなが楽しめる行事も大事」。これからもまとまりのいい下荒屋地域を維持していきたいと考えています。
 
2016年3月31日掲載

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