秋田を味わいたい!

あきたの旬材 しょっつる


 つて秋田の沿岸部の家々では、一時期に大量に水揚げされる安い魚を使い、「しょっつる」を作っていた。ハタハタはもちろん、イワシ、コウナゴなどでも仕込んだものだ。作り方も各家庭によってさまざま。魚と塩だけで作る家、魚と塩とこうじで作る家、それぞれの家庭の味があった。

 

 正末期から昭和初期の秋田の食生活を再現した「聞き書、秋田の食事」(農文協刊)によると、ハタハタで有名な男鹿市北浦の上野家に伝わる「」の作り方は次のとおり。

 タハタ七升、塩三升、こうじ二升の割合で漬け込み、ハエがつかないように、漁で使ったゴム合羽の古い物を利用してかぶせ、ぎっしりひもで締めて保存する。年に二、三回発酵が進むようによくかき回し、3年間そのままにしておく、こうするとハタハタは全部溶けてしまい、ドロドロの汁になる。これを鍋に入れて火にかけ、焦げつかないようにかき回し、熱いうちにこす。こし方はザルの底に海岸にきれいな砂を敷き、その上にさらしを敷いてこす。それをビンなどに入れて蓄えておく。

 在、男鹿市船川港で醸造業を営む諸井醸造所では、ハタハタなどの魚と塩だけで作っている。魚と塩を混ぜ合わせてタンクに仕込んだあとは、空気を入れるために時々櫂棒でかき混ぜるだけ。二年もするとドロドロの液状になるので、これを濾過して加熱処理をすれば強烈な香りのする「」のできあがり。

 


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 「イワシやコウナゴでも仕込みます。でもハタハタだけの方がにおいがまろやかですね」と、近年高値続きのハタハタをあえて使い始めた諸井さんは言う。

 


 際、その香りは強烈だが、調味料として火をとおすと、甘さとコクが増し、香りそのものは気にならなくなる。一昔前までは、「」と言えば「 貝焼き」に代表される鍋料理専用の調味料と思われていたが、もともとは「醤油」の代わりのように煮物や汁物に使われていた調味料。さらに近年では、エスニック料理のブームもあって、パスタやサラダ、ラーメンやチャーハンまで、利用範囲が広がっている。

 

 調理中に、何かひと味足りないと思うようなとき、少し「」を加えてみると、驚くような効果が得られるに違いない。ただし、醤油に比べて塩辛いので、初めは控えめに試して欲しい。


 

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