秋田を味わいたい!

あきたの旬材 ギバサ

 褐色のは熱湯にサッとくぐらせると、鮮やかな緑色に変わる。それをまな板の上でトントンたたいていると、しだいに粘りが出てくる。あとは好みに応じて生姜醤油や酢醤油、焼き味噌などを加えて味を調えるだけ。は手間がかからず、強烈な粘りが特徴のおいしい海藻だ。

 てこの、鮮度が良ければどれでもいいというわけではない。秋田県民は、とにかく粘りにこだわる。粘りが強いほどいいだとの評価が下されるので、売る方も真剣だ。魚屋さんや市場などでは、粘り具合を確かめてもらうためのサンプルを置いている店も多い。お客は調理済みのを箸でかき回し、「うん、これだば粘る」と納得して買っていく。



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 ンプルがなくても粘りのあるを見分ける人がいる。そのポイントを聞くと、「なんばっこ(ナンバン)がいっぱいあれば、大丈夫」と言う。なんばっこと呼ばれているのは葉の所々に付いている細長い実のようなものだ。海藻の専門家によると、なんばっこと呼ばれている部分は実ではなく単なる気胞。海中で茎を直立させる役目を果たしているのだという。

 ころで、このを好んで食べるのは秋田県と新潟県のほんの一部の地域だけだという。の正式名称はホンダワラ科のアカモク。日本海沿岸はもちろん、太平洋にもたくさん生えている。かつて県外にを買い付けに行った業者は「誰も食べないこんな海藻をたくさん買ってどうするのか?」と聞かれ、食用とは言えず「馬のエサ用だ」と答えたという話も伝わっている。

 かし、最近の研究でにはいろいろな有効成分が含まれることがわかってきた。カルシウム吸収を助けるビタミンKが多く含まれ、骨粗しよう症の予防に効果がある。また、ぬめり成分の一つであるフコイダンにはコレステロール低下作用、血圧上昇抑制、血糖上昇抑制、抗腫瘍効果などがあるといわれている。

 

 「馬のエサ」などとはとんでもない。このような機能性天然食品を常食していた先人の先見の明に敬意を表したいものだ。

 つてギバサが魚屋さんの店頭に並べられたのは2月から3月にかけて。緑の野菜が少なかった昔の冬のこと、の緑は非常に新鮮に感じられたに違いない。

 近は加工技術や保存技術が進歩し、トロトロにたたいたのパック詰め商品が真夏でも売られている。でもお年寄りに言わせれば、は冬の終わり頃の食べ物。「が出るようになれば、もう少しで春だ」。こんな季節感も大切にしたい。

 

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