秋田を味わいたい!

あきたの鍋シリーズ きゃの汁

 

 は県北から青森の津軽にかけて作られており、青森では「けの汁」とも呼ばれている。昭和30年代まではこの一帯の多くの家で作られていたというが、最近では作る家庭も極端に少なくなってしまったという。

 理にお願いして作っていただいたのは、比内町に住む柳館さん。「下ごしらえとか準備には時間がかかるので3日後でなければできねすなぁ」と聞いてビックリ。そんなに手間がかかるものとは思わなかった。

 日後の当日。どっさり作るものだと聞いていたが、それは予想以上の量だった。「が子どもの頃は、これよりもっと大きな鉄鍋にどっさり作って、囲炉裏に吊るしたもんです」と柳館さんはこれでも少ない方だと強調する。

 の具の数も半ぱではない。フキ、ヤマウド、サシドリ、ワラビなどの山菜類。大根、人参、厚あげ、こんにゃく、ずんだ。「ずんだ」とは大豆の粉ともち米の粉を練って、油で揚げたもの。昔は囲炉裏の火で焼いていたという。各家によって入れる具は違い、サワモタシやアミコなどのキノコ類、ゴボウ、凍み豆腐を入れる家もあったようだ。

 「の実家でだば「ずんだ」を入れてましたが、他の家では「ささぎ豆」を固めに煮ていれているところもありました」と柳館さんは言う。
 「昔も3日前から準備を始めたもんです。塩漬けの山菜類は樽から出して塩抜き。大根などの野菜類は雪の下に貯蔵しておいたものを必要な分だけ掘り出して洗う。こういう動くような仕事は私の母親、つまり嫁がやるわけです。 おばあさんは、まな板の前にひざをついて座り、包丁でひたすら切る係り。母親は、おばあさんが動かなくてもいいように、手の届く範囲に材料を並べたものです。 私ら子どもは囲炉裏で『ずんだ』を焼く係。時々つまみ食いもしましたが、こんがり焼き上げたもんです」

 

 

 れらの具を煮干しや昆布などのだし汁でコトコト煮て、味噌で味を調える。なんと手間のかかっていることか…。3日間台所仕事から解放されるといっても、その準備期間は普段の台所仕事にこれらの仕事がプラスされるわけだから、最終的にはプラス・マイナス、ゼロ。昔の女の人たちは本当に大変だったと思う。

 


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 鍋に作った「」は、食べる分だけ小鍋で温めていただくが、冷めたままでも十分においしかった。特にフキやヤマウドのほろ苦さがいい。そのまま酒の肴にもなるし、二日酔いで食欲がわかない時でも「」だけは、するすると胃袋に入って行った。


 

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