秋田を味わいたい!

あきたの鍋シリーズ ヒロッコとかど貝焼き

 



【 画像をクリックすると拡大されます。】
 にかく、土を見たい。土の感触を確かめたい。そして何かを掘りたい─-。 これらを満足させてくれたのがヒロッコ掘りだった。ヒロッコはノビルとも呼ばれているが、正式にはアサツキ。都会の人に説明する時は、「野原に自生しているアサツキ」と言っている。

 のヒロッコ、厚い雪の下で雪の消えるのを待ち続けているが、雪消えと共に緑の芽を出して一気に成長する。緑色になり少々成長したものも食べられないことはないが、秋田で好まれているのは太陽の光を浴びる前の黄色っぽいヒロッコだ。だから雪を掘り起こして、その下の土の中からヒロッコを探すことになる。

 混じりの土の中からヒロッコを採っては竹の籠に入れる。鼻水は出るわ、手はかじかむわ。しかも服は泥だらけ。それでも久しぶりの土の感触、土の匂いに春の訪れを実感したものだ。

 

 


 なり以前のことになるが、郵貯のPR誌「のびのびライフ」'96冬号の鍋物特集に、秋田県出身の作家西木正明さんがヒロッコについて書いていた。数ある郷土の鍋料理の中で「あえてわたしが一番好きなものを選ぶとすれば、それは春先のノビル鍋である。─中略─ 合わせる魚や肉はなんでもいいが、伝統的なのは塩ニシンである。肉ならば前年秋に獲れたカモかヤマドリを冷凍してあったものが手に入れば、文句なしである」春告げ魚とも呼ばれるニシンが秋田の内陸部にも出回る頃、ヒロッコ掘りが始まる。年配の方にヒロッコの食べ方を聞くと、ほとんどの人は、まっ先に「」と答える。

脂の乗ったカド(ニシン)をぶつ切りにして、豆腐と一緒にヒロッコをどっさり入れる。

 ギに似たヒロッコ独特の香りがカドのコクと一体となった春の味。しょっつるで味をつける人、味噌味の人、塩味の人とさまざまだが、味付けはどれでもかまわない。ただし、ヒロッコはあまり火を通さないこと。煮過ぎると独特の歯ざわりが失われてしまうからだ。

 凍のニシンや塩ニシンは一年中出回っているが、ヒロッコはせいぜい4月初旬まで。
季節感が失われた料理があふれる中で、ヒロッコをたっぷり入れた「」は、まさに秋田の早春の味といえる。


 

このページのTOPへ